「川崎フットボールアディクト」

U-18史上最多の3910人を動員した昌平戦を3-0で勝利/プレミアリーグ第15節 vs昌平【レポート】

■U-18史上最多

川崎U-18の等々力での今季初めての公式戦は、3910人の観客を集める中で行われた。

川崎U-18は、9月23日に等々力競技場に昌平を迎え、プレミアEAST第15節を実施。川崎U-18が3-0で勝利した。

この試合を始めるに際し、長橋康弘監督は駆けつけてくれた多くの観客を念頭に、選手たちに感謝の気持ちを忘れないよう伝えたという。

「3910人、来ていただいたんですが、感謝しかなくて。私も入った時は本当にびっくりして。本当に選手たち。試合前もですね。感謝の気持ちを忘れちゃいけないと。この人たちのために戦おうと、いうことで入りました」

そんな長橋監督の言葉も後押ししたのか、試合は序盤から川崎U-18ペースに。昌平に対する厳しいプレッシャーでペースを掴むと前半9分に先制点が決まる。

左サイドで得たFKを元木湊大が蹴ると、これがファーサイドの尾川丈にこぼれ、ダイレクトでゴール前に。最後は由井航太が蹴り込んで川崎U-18が先制。

「いいところにまたまたこぼれて来たので。ゴールめっちゃ近いし、蹴ったら入ってました」

そう先制点を振り返る由井は「試合は前半すごい自分たちのいいサッカーというか、パスをつなぎながらドリブルも使うところは使って。個人のいいところが出せて」いたと述べている。

27分には2点目が決まる。元木から髙橋宗杜、岡野一恭平へと繋がり、最後はゴール正面の岡田泰輝がダイレクトシュート。GKの素早い反応に一度は弾かれるが、これがポストに当たりゴールネットを揺らした。


岡野一からのパスを、相手DFの間でもらうことを練習していたと話す岡田が、ゴールシーンを振り返ってくれた。

「ライン間で受けるってところは練習中からも結構いい関係ができてたので。あそこで走り込めばボールは出てくるなと思っていたので」

そう話す岡田は、ゴールは運も味方してくれたと嬉しそうだった。

「(シュートは)キーパーに当たってポストに当たって入ったんですが、それは運が良かったなと思います」

2点をリードした前半の内容について長橋監督は昌平の上手さは置いておいて、自分たちの良さを出すことを意識させたという。

「昌平さんは技術、ドリブルとかが上手な選手たちがたくさんいる中で、私たちは相手に合わすことではなくて、自分たちの良さを出そうと。これ(昌平の技術力)は情報の一つであって、自分たちのサッカーをとにかくやり抜くことだというところをちゃんと整理して選手たちはやってくれたのかなと思います」

■ダメ押し

後半に入ると徐々に昌平にペースを握り返される展開に。何度かボランチの土谷飛雅にゴール正面でシュートを打たれる場面も出てきたが、いずれも濱﨑知康の守備範囲内で事なきを得る。

そんな試合終了間際の89分に岡田が3点目を決めて試合を決定づけた。

「2点目はウミ(加治佐海)のパスだったと思うんですけど、自分も逆に取られて、でも相手も逆取られてて。どっちも逆、取られた状態で競争みたいな感じだったんですけど。自分が一歩早く体入るなと思ったので。体を入れて、あとはキーパーをかわして落ち着いて決めるだけでした」

岡田のこの日2点目の得点が試合を決定づけるダメ押し点となり、3-0で昌平を押し切ることとなった。

■無失点勝利

無失点勝利について土屋櫂大は「ここ最近、無失点が続いている中で、今日も無失点で終われたというのは本当に良かったかなと思ってます」と一言。前半2点をリードしたからこそ、後半は気をつけていたと振り返る。

「前半に2点というところで、2点差っていうのが本当にサッカーの中で危ない点差なので。そこはやっぱりハーフタイムでみんなで声を掛けて、後半仕留めに行くぞって、相手の足を止めさせに行くぞっていうことを、チームで意識して後半は入りました」

ところが、気をつけていた後半に押し込まれてしまい、土屋は反省。

「そうですね、後半は攻められることが多くて。自分達に集中力も欠けてたところはあったと思うんですけども。ああいう時間帯がほんと、長く続いたので。いつ失点してもおかしくないなって思っていました」

だからこそ、3点目の追加点が大きかったとしている。

「3点決めたところでやっぱりほっとしたところはありましたし、でも本当に無失点というのは、キーパー、最終ラインを含めて本当に意識してやっていたので。今日は本当に無失点で終われてよかったなと思います」

■守備意識

その土屋とCBでコンビを組む由井は、土屋やGK濱﨑からの声に助けられていると振り返っている。

「リスク管理のところで、すごいうるさいぐらいに声かけてくる人が隣にいたり、キーパーとかもうるさいので。うるさい、と思うんですけど、それのおかげかなと思います」

ちなみに由井は、土屋、濱崎のあまりのうるささに練習で一度抗議したそうだが、指示の声は止まらず。ただ、それが無失点になっていることもあり、守備陣に感謝していた。

「練習中にもうるさいと言ったんですけど、そのまま、うるさいまま。でも結果に繋がってるんで。それが凄い助かってます。後ろのディフェンスラインの方たちには(笑)」

ちなみに感謝された側の土屋は濱崎の方がうるさいのではと話していた。

「監督からも口うるさいぐらい喋れと言われているので。そこはハマ(濱﨑知康)中心に、自分よりも後ろの方がうるさいので。濱﨑中心で守れてるところはあるかなって思います」

なお、守備について由井は前線の働きにも感謝。お陰で仕事が少なくて助かると話している。

「(前からの守備は)めっちゃ助かります。ソウド(髙橋宗杜)とか、もう本当に全員が守備できるし、する意欲もあるので。すごい、センターバックに正直、そんな負担来ないんで。あまり自分がすることがなくて。前で取ってくれるので、楽です」

前からの守備について長橋監督は前線の2選手に言及。献身的な守備を労っていた。

「特に岡田泰輝と髙橋宗杜は本当に、ベンチに岡崎寅太郎もいる中で、とにかく自分たちが最初から飛ばして、守備と攻撃と全力で、90分持たそうというの考えは彼らはなかったと思うんですけど、そういったところもちゃんと自分の役割っていうのを理解してやってくれたと思います」

ちなみにボランチでの守備で攻撃の芽を摘み続けていた矢越幹都は、セカンドボールの回収は上手くやれていたと手応えを口にしている。

「守備のところは課題で、ずっと意識してやってるので。そういう、セカンドボールは今日は回収できたのかと思います」

その矢越は他の選手とともにトップチームの練習や練習試合に参加。そうした経験が守備を見直すいいきっかけになったようだ。

「トップの練習に行って、自分の攻撃の部分っていうのは結構通用した面もありますけど、守備で鬼木さんからも守備のところはもっと上げていかないとダメだと言われて。そこを、トップ行ってからの期間は特に意識してます」

■順位

最後に、この勝利の結果、第11節のFC戦U-18戦からの無失点の連勝は5へと伸びることに。

11節 FC東京U-18戦 1−0
12節 大宮U18戦 3-0
13節 流経大柏戦 1−0
14節 前育戦 3-0
15節 昌平戦 3-0

リーグ最少失点が続く守備について長橋監督は守備でも魅せるサッカーという言葉で説明してくれた。

「フロンターレのサッカーを間違えないようにということで、攻撃はそうなんですけど、守備でも魅せることができるチームを作って行こうということは、選手たちにずっと言ってきたことで、その辺が前期で反省した部分ですね。セットプレーからの得点だったり、どうしても最後の方で落ちてしまい、止めてしまうようなところが目立っていたので。その辺のところを選手たちが話をしながら整理して夏場というところをしっかりと頑張ってくれた。その結果が今すごく出ているのかなというふうに思います」

いずれにしても、それぞれのポジションの選手がそれぞれに守備のタスクに感謝しており、チームとしてトータルで守れているということが言えそうだ。

24日の試合の結果、尚志は市船と引き分けて勝ち点1にとどまる一方、青森山田は後半ATのラストプレーで逆転ゴールを決めて勝ち点3を追加。青森山田が首位に返り咲き、勝ち点1で川崎U-18と尚志があとに続いているが、得失点差で上回る川崎U-18が2位に順位を上げている。

■コメント
長橋康弘監督と、岡田泰輝、由井航太、土屋櫂大、矢越幹都の各選手です。

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