「川崎フットボールアディクト」

元木湊大「試合が始まる前から気持ち的に上がって来るのが好きです。等々力での試合は数は少ないですけど、すごく楽しみにしてます」【インタビュー】【アカデミー】【無料公開】

川崎U-18の選手たちにとって年に数試合しかない等々力での公式戦の一つが9月23日に行われる。対戦するのは今季プレミアリーグ14試合終了時点で唯一の敗戦を喫した昌平高だ。この試合に向けてサイドバックの二人、江原叡志と元木湊大に話を聞いた。

冗談だとはわかっていても、一応一言、これまで取材ができていなことについて詫びの言葉を元木湊大に伝えると、「守備陣、結果を出すのが難しいので」と苦笑い。試合後の取材ではどうしても守備よりも攻撃や初スタメンなどの話題が優勢になるという事情を理解してくれているのだなと思いつつ、今季のチームについて聞いた。ちなみにチームへの認識が江原とは真逆なのはおもしろい部分だ。

◯元木湊大
――今年ここまでのチームの仕上がり具合はどうでしょうか?去年が良すぎたということもありますが。
「去年の方がナガネくん(松長根悠仁)や高井くん(高井幸大)が居て、すごい守備が安定してるってことで、失点数も少なかったというところで勝ちに繋げられたんですけど。今年はちょっと守備の部分がまだ、失点数が多い中で、勝ちきれない試合が多いというのはあります。ただ、逆に去年よりは、一人一人の攻撃のところの部分がすごいレベルが高いと思うので、自分も、もっと去年より攻撃参加ができるなって感じます」

――やっぱり高井、ナガネ両選手の不在は大きいんですね。
「そうですね。ゼキさん(大関友翔)が攻撃の部分でスイッチ入れてるっていうところで、今年はあんまりそういう選手がいないっていうのはあると思います。でも、ジョウ(尾川丈)とか由井(由井航太)は結構攻撃を一人で作れるますし、サイドハーフやFWも一人一人が攻撃でチャンスを作れるようなところが今年はあるのかなと思います。去年は(トップ昇格した)3人が主軸だったんですが、今年は主軸が居なくなった分、みんな、一人一人が中心だって自負してるのかなと感じます」

――今、名前が出た3選手の穴をみんなで補っている感じなんですかね。
「そうですね。あとは一人一人、ベンチも含めて、去年に比べてレギュラー争いが激しくて、それでチーム全体のレベルが高いってのは自分も含めて感じます」

――元木くんは今年はシーズン当初、ちょっと出られてなかった。それはつまり、ハイレベルな争いになっていたと。
「去年と比べると、毎試合毎試合自分のポジション争いもしつつ、試合の勝ちにもこだわってっいるので、それで自分も去年に比べて、焦りっていうことじゃないですが、成長しなきゃって感じてます。去年は先輩から学ぶ部分もあったんですけど、今年はやっぱ下から追われるっていうか。そういうポジション争いのところの激しさもあって、成長を感じてます」

――去年から成長を感じている部分はあるんですか?

「さっきの3選手に去年は付いて行くような形でした。守備の部分だったりでカバーしてもらって。結構自分達が甘える感じだったんですけど、今年は最終学年だっていうのと、自分の武器をもっと増やしていかないといけないなというところで、守備も一人で完結できるように意識してます。
あとは、攻撃でも起点になるようなパスだったり、自分の形を見つけたりっていうのを考えていて、今年になって自分の攻撃のスイッチになるパスの入れ方だったり、守備への強度をもっと高めていく必要があるかなっていうのは感じます」

――岡野一くんとは縦関係ですけど、彼が入ると違いを感じますか?

「キョウヘイもそうですし、カイリ(志村海里)とかもそうですが、左ハーフが質の高い中で、一人一人の選手に合わせるというか、左ハーフに入る選手によって自分がプレーを変えるというのを意識してます。そこは自分の強みにもなっている部分かなと思います。キョウヘイ(岡野一恭平)だったり、カイリだったりで、ポジションの取り方やパスを出すタイミング、パスを出す足を変えるのはこだわってます」

――試合ではその辺を見てほしいなと。
「そうですね。自分はあまり目立つタイプじゃないのかもしれないですけど、攻撃でのスイッチだったり、左ハーフが生きるようなパス、周りを生かすパスだったりは見てほしいです。あとは、守備での1対1でボールを取りきる部分には自信があります。声とかも出してるので、そういうところは見てほしいです」

――等々力でのユースの試合は年に数回しかないと思いますが、あの舞台での試合についてはどういう思いがあります?
「人が集まるイメージが去年からありますし、トップと同じ場所でやってるっていうので、雰囲気の違いも感じてます。ここのアンカー(Ankerフロンタウン生田)も質のいいグラウンドなんですけど、それ以上のグラウンドですし楽しみです。雰囲気もすごいので緊張する部分もあるんですけど、それよりも楽さというか。試合が始まる前から気持ち的に上がって来るのが好きです。等々力での試合は数は少ないですけど、すごく楽しみにしてます」

――試合の重みはどうですか?
「試合の意味はそこまで変わんないというか、プレミアからしたら1試合の重みは変わらないですけど、でも等々力っていうのは気持ち的な部分っていうと、すごいやっぱ上がるところではあると感じます」

――プレミアの先のファイナルというところは、去年は色々な意味で悔しい思いをしてますけど(ベンチ入りしたが出番なく敗戦)、そこへの思いは強いですか?
「そうですね。自分はファイナルに行きたいっていうのもありますけど、でも1試合でも多く試合に出つつ、それが勝ちにつながって、最終的にファイナルにつながればというところで、あんまりファイナルに出る出ないって意識するよりも、1試合1試合、多く出れるようにってところで、多く経験を積めればなって感じます」

――目の前の1試合に集中するスタイルなんですね。
ところで最後に、ストッキングは膝上に上げてますけど、あれは誰かの真似なんですか?
「去年はずっと折ってて。膝に負担がかかるのも好きじゃなくて。でも、今年ぐらいから練習でずっと膝上にしてて、あまり練習と試合とで変えない方がいいかなと思って、それで今年から上げてます。そんなに深い意味はないです」

――三笘薫の真似とかって訳では無いと(笑)。
「全然、そういうのはないです(笑)。練習から上げてたってのが真相です」

――わかりました。試合に向けて練習がんばってください。
「ありがとうございました」

(取材・構成・写真/江藤高志)

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