赤鯱新報

【U-18レポート】東海のライバル相手にU-18Bが奮戦も6失点。悔しい敗戦に見えた地力の必要性。

■高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 東海 第4節
2024年4月27日 13:00 KickOff トヨタスポーツセンター第2グラウンド(人口芝)
名古屋グランパスU-18 B 0-6 清水エスパルスユース
得点者:26’土居佑至(清水)48’田代寛人(清水)58’市川幸優(清水)64’田代寛人(清水)87’針生涼太(清水)88’針生涼太(清水)
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プリンスリーグ東海を戦うBチームは1年生が主体となったメンバー構成。前節の磐田に続き、プレミアにいてもおかしくない清水ユースとの一戦に選手たちは臆さず挑んでいった。

大敗についてはもちろん互いのメンバー構成の違いも理由としてはあったが、それゆえに未熟さが際立つ負け方でもあった。途中から雨脚の強まったピッチに見えたのは力負けという意味合いよりも、もっとファンダメンタルの部分における彼我の差だった。1年生主体のチームとはいえ、いやだからこそに基本の部分で自分たちを不利にしてしまった試合を経験したことは、敗戦のショックよりも次への大きな糧を得たと見るべきかもしれない。

水曜日のルヴァンカップにも出場した小竹知恩など、ほぼフルメンバーの清水はやはり強かった。立ち上がりからボールを握られ、球際でもフィジカル差はやはり歴然。それでも名古屋U-18Bの面々は勇敢に闘い、運動量も豊富にボールを追いかけ強豪に対抗し、前半を1失点に抑える健闘ぶりだった。この日は伊藤ケンを1トップに置き、シャドーを石田翔琉と中條遼人が、ボランチには神谷輝一と小島蒼斗が入り、ウイングバックは左が白男川羚斗に対し、右には千賀翔大郎と突破力に優れる面々が配された。3バックは右からオディケ チソン太地、小室秀太、丸山世来人とパワフルな3人が並び、個としての実力差はそこまで大きなものではなかったと思う。しかし、細かい部分の精度がアドバンテージを清水に与えた。

名古屋の劣勢は詰めの甘さに起因するものが多かったように思える。前から守りをはめに行き、うまく敵陣で奪い返せる場面もあれば、突破される場面もあるのが通常だが、突破された場面も後ろが回収できれば問題はなく、むしろ前プレの目的はそこにあるとも考えられる。相手のDFラインや下がったボランチに蹴らせたところにDFが先回りするように球際を作っていけば、最低限そこでファウルで潰して相手の攻撃は遅らせられる。だが小室が言うように「ファーストが限定しきれずにいろいろなパスコースがある中で、スイッチだけその流れで入ってしまって」という要因も重なり、清水は良い形で攻撃の起点ができた状態で攻め上がれる場面が非常に多かった。名古屋は名古屋でビルドアップ時のパスミスが多く、全体で押し上げていきたいところでノッキングを起こすこともしばしば。そこで潰せば、そこを通せば、というひとつの掛け違いは4-4-2の相手に容易にウイングバックの背後を取らせることになり、ピンチの温床にもなった。

出足の速さやコンタクトの強さでは年齢的にも清水がやはり一枚上。石田翔琉はフリックやワンタッチコントロールも使ってその差をひっくり返そうと工夫を凝らした。

システムのミスマッチを是正すべく、4バックでの対応を試みた後半は対応に改善が見られたところもあり、リスクが軽減された右サイドが逆に攻め手として機能。千賀の突破と途中出場の大見咲新のポジショニングの良さを利して何度も良い場面を作ったが、最後が決めきれず。前半からフルパワーで闘ってきたツケもまわり、強度が落ちたところで清水の反撃を受け、あれよあれよと5失点。体力差はいかんともしがたいところはあったが、致し方ないとも言いにくい。一つひとつのプレーの丁寧さ、抑えなければいけない局面に対する覚悟や気迫の持ち方。このステージでは最高クラスの相手だからこそ対照的に、基礎の部分は突き付けられた。

試合を振り返り課題を口にする濱崎も小室も、表情は変えなかったが目には悔しさの炎が渦巻いていた。彼らはプリンスリーグで勝つことが目標ではなく、プレミアリーグの主力となり、その上のステージを目指していくのが本望である。相手に上回られることの方が多かった大敗は、今後のトレーニングや試合に向かう意識を大いに刺激し、変えていってくれることだろう。「これじゃあまだプレミアには出られないっすね」。取材を終えた濱崎は苦笑交じりにつぶやいた。この悔しさ、負けた経験は今後のBチームを一回りも二回りも大きくしてくれるはず。まずは1点、まずは1勝というのはトップチームの今季にも重なるところで、そこを乗り越えた時に何が起こるかを我々は今まさに目撃している。U-18のBチームの今後にも、そうした快進撃の日々がやってくることに期待したい。

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