赤鯱新報

【クラブニュース】「GRAMPUS SOCIO PROJECT」の結晶・新エンブレムついにお披露目。伝統と革新の新たな象徴にチームは次の一歩を踏み出した。

いよいよ発表の時を迎えた名古屋グランパスの新エンブレム。会場は中部電力 MIRAI TOWERのそばというまさに名古屋の中心地。

小西工己社長が今回の「ソシオプロジェクト」の説明も含めて挨拶。好天に恵まれほっと一安心とのこと。

本日12月10日、名古屋・栄のHisaya-odori Parkにて名古屋グランパスが新エンブレムのお披露目を行ない、制作に深く携わったソシオプロジェクトメンバーはじめ多くのサポーターが集まり、新時代の幕開けを目の当たりにした。これまでのエンブレムの面影をどこかに残しながらも現代的なデザインが印象的なこのエンブレムを胸に、名古屋は2024からの闘いに挑んでいく。

大型ビジョンで発表された新エンブレム。今までのものよりもかなりシンプルかつ明るい色使いと、「NGE」の意匠も確認できるシャチのモチーフがかなりスタイリッシュに融合している。

細かなデザインコンセプトも合わせて発表になった。

お披露目の場には小西工己社長、永井謙佑、森下龍矢はじめクリエイティブチーム、ソシオメンバーなど多くの関係者がステージ上で感想やこのプロジェクトに対する想いを披露。それぞれに思い思いのエンブレム制作に懸けた気持ちがある中で、個人的には名古屋おもてなし武将隊の徳川家康公の言葉が素晴らしかったので、ここに改めて書き起こしてみたい。

「此度は新たに”えんぶれむ”なる新たな家紋を整えたわの。実は400年前、天下人と申せば桐紋を使うものじゃが、儂、徳川家康は今までになかったこの背なの三つ葉の葵を使おうと申した。皆々、反対を致した。『なぜ天下人の証を捨てるのか』
儂は思う。此度、50数名の者たちと半年に渡りこの”えんぶれむ”なるもの、ずっと軍議を重ね創ってきた。儂、徳川家康もその一人として思うのは、己が地は皆と育んでいきたいということじゃ。三つ葉の葵の家紋と、桐の紋と、今となってはどっちが有名かの? この儂、徳川家康の三つ葉の葵じゃな? というように、時というのは力になる。こののち30年と申すか。この30年が土台となりて300年、またその300年と大きく描いていくであろう。皆々、儂、徳川家康も何故かわからんが400年前より甦りここにおるわけじゃ。そして、このグランパスファミリーというものは、儂が現世に甦って初めてできた家族じゃ。ちと、こそばゆいところもあるが、儂にとって初めての大勢の、血のつながらぬ大切な者たちができた。これから共に参りたい」

「時というのは力になる」とは心地よい言葉だった。天下人の証を捨てるのか、という周囲の声は、「別にエンブレムは変えなくてもいいのでは」という今回のプロジェクトに対する一部の評判にも通ずるところがある。そうした反論は必ずあると分かっている中でエンブレム変更という大きな決断に至り、約1年間をかけてできるだけオープンな制作環境を用意して生み出した新エンブレムには、それだけでチームが勝利へと突き進んでいく闘志が詰まっているような気がしてくる。

名古屋おもてなし武将隊の徳川家康公もソシオメンバー。実に含蓄のあるお話をされた上に、「出陣!」の掛け声まで。

トークセッションに登壇した永井と森下はともに新エンブレムが胸に入ったジャージを着用。開口一番、「良いっすね」と笑顔を見せた永井は「強そうですね。闘う顔をしてる。僕は好きです。相手をやっぱり威圧してやらないと」とニヤリ。「エンブレムの鯱の上の部分が炎みたいで、僕の熱いプレーを助けてくれるんじゃないかなって思う」とは森下の言葉で、他の選手含めてメンバーたちの評判も良いとのこと。永井は「チームに対する想いだったり、街だったり、チームのイメージでもある『風』だったり。いろんな話をしていく中で完成していったものなので、すごく楽しかったですし、すごく良い経験をさせていただいたなって思います」と、プロジェクト自体の有意義さも強調し、新たな家紋の誕生を喜んでいた。

最後は永井謙佑と森下龍矢が登場。ふたりとも新エンブレムの入ったジャージ着用という演出だった。

森下龍矢はエンブレム中のデザインが炎のように見えるところがお気に入りと語った。

来季への抱負を語る永井謙佑。「このエンブレムにひとつでも星をつけたい」。

このエンブレムを使って闘い始める2024年のシーズンに向けての想いも強い。「このエンブレムには思い入れもありますし、ひとつでも星をつけたいなって思っています」と永井が言えば、森下も「作っていく過程でファミリーの皆さんの声を聞けたのが良い経験でした。ソシオプロジェクトの参加者には30年応援してくれている人もいるし、その言葉はプレー中の僕にも刺さりました」と呼応。「来シーズン、みんなでこのエンブレムを胸につけて、スタジアムを満員にしたいです。苦しい時にはこのエンブレムを見てもうひと頑張りできるように、ここから戦っていきたい」。永井の言葉は温かく響いた。来季の開幕はまだ少し先だが、新エンブレムを胸に闘うチームの姿を見るのが、もう待ち遠しくて仕方ない。

森下龍矢選手

Q:まずは改めて一言、率直にエンブレムの感想をお願いします。
「ほんとにすごくかっこいいですし、いつも応援してくれてるファミリーの皆さんに、僕がメインで作ったわけじゃないですけど、協力してみんなで作ったエンブレムを発表できて、共有できたっていうのがすごく嬉しいなと思います」

Q:発表の場も名古屋の中心で行なうことができました。
「名古屋の中心で、こんなにたくさんの人たちが集まってくれました。僕自身、こういう機会が初めてなので、ほんとに刺激的な時間になりました。後ろにあるのが『(中部電力)MIRAI TOWER』ってことで、グランパスも未来に向けてこれから頑張っていこうっていう中で、こうして新しいエンブレムをファミリーの皆さんにも受け入れてもらえたと思いますし、また新しい章が開けるなって思うと、すごくワクワクするなと思います」

Q:この新しいエンブレムをつけたその元年、来シーズンをチームでどういう風に変えていきたいですか。
「もうチームとしては、今年もそうでしたけど、最高のスタートダッシュを来季も切りたいと思います。しっかりそれを持続していく力も、みんなでつけていきたいなと思ってます。今年取れなかったタイトルをもう1回、奪還を目指して頑張って、1試合1試合、熱いプレーを見せていきたいなと思います」

Q:このタイミングで森下選手は日本代表にも選ばれましたが。
「また選んでいただいてすごく嬉しいなと思います。ほんとに今年1年の集大成を、来年の1月1日っていう場所で発揮できる。シーズンの最後の最後までサッカーができることが本当に幸せだし、ほんとにグランパスの皆さんが支えてくれたからこそここにいると思うので。最後はちょっと悔しい思いをしましたけど、それを晴らせるような元日にしたいし、逆にそれをスタートダッシュにつなげられるような元日にもしたいなと思ってます」

Q:率直にこのエンブレムを見た第一印象は。
「うーん、かっこいいって言うとなんかすごく抽象的ですけど、名古屋らしいな、っていうのはすごく思ってて。何ていうんですかね、デザインもそうなんですけど、やっぱりその制作の進め方というか、このエンブレムを作るまでの過程がすごい僕は好きで。ファミリーの皆さんの意見もしっかり聞きながら、みんな受け入れながら、選手も意見を聞かれるしで。もちろんクラブが最終的には決めるんですけど、やっぱりみんなで1つのものを作ろうよっていう、ファミリーを大事にするグランパスらしさっていうのがすごく出ているので。デザインもすごく素敵ですけど、それ以上にそれまでの過程に、このエンブレムの意味を感じるなと僕は思ってます」

Q:エンブレムのデザインの中で気に入っているポイントはありますか。
「2つあって、1つ目が配色。やっぱりこの赤がオレンジっぽい感じの赤じゃないですか。黄色も含めてですけど、この配色が僕はけっこう好きで、グランパスらしい、これ見たら一発でグランパスだなってわかるような配色がすごい好きだなって。もう1つはさっきも言いましたけど、この炎というか、上昇気流を表している部分なんですけど、これは気流にも見えるし、僕は炎にも見えるなと思ってて。僕自身は熱いプレー、最後の最後まで戦う姿勢っていうのを皆さんに見せたいと思っていて、今まで表現してきたので、エンブレムにも表現してもらって何か嬉しいなって。一緒に戦っていきたいなと思っています」

Q:エンブレムが変わることはわかっている中ではいろいろと想像もしたと思いますが、実際に完成版を見た時の変化をどう感じましたか。
「今日までは新エンブレムを合成でというか、今年のユニフォームの写真にくっつけたりして見たことはあったんです。そういう想像をさせてくれるような資料をもらったりしたんですけど、やっぱりいざこうやって服についたのを見てみると、なんかすごい良いなっていうのは個人的に。ユニフォームも含めてですけど、実際のエンブレムってもっと重みがあるし、すごくかっこいいもんだなっていうのはすごく思いました」

Q:日本代表のこともお聞きします。ステージでは「新しい章が始まる」という話もありました。元日の日本代表戦には特別な感じもあるかと思いますが。
「ほんとにその通りで、やっぱり集大成としての位置付けでもあるし、スタートダッシュとしての位置付けでもある元日なので。ほんとに頑張っていきたいと思ってます。あとはグランパスの選手として代表に行けるっていうのは、今年1年間やってきたことのご褒美なんじゃないかなって個人的には思ってるんで。グランパスの選手らしさみたいなものを最後の最後まで、藤井と一緒に出していきたいなと思ってます(笑)」

Q:持ち味、どんなプレーを見せたいですか。
「最後の最後まで戦い抜く姿。藤井だったら彼の高さとか速さとか集中力というのは最後まで活かしてプレーするところだと思いますし、 僕だったら最後の最後までスプリントをやめない。どんなにきつかろうが、どんな苦しい状況だろうが、最後の最後まで走り抜くっていうところが僕らしさであり、グランパスのネバーギップアップの精神だと思うので。そこを最後の最後まで出したいと思います」

Q:名古屋らしいプロセスという話については、森下選手らしさにも通ずるところがありますね。
「ほんとにすごく重なるし、今年はすごくそうやってファミリーの皆さんとコミュニケーションを取る機会が多くて。たとえば選手会も含めれば、クアイフの森さんの横断幕もそうですし、風のチャントを一緒に歌おうとかも。今回話し合ったのも選手とクラブとファミリーの皆さん、サポーターの皆さんで話し合って決めたことで、それはグランパスのDNAとして。選手とクラブだけじゃなく、街の皆さん含めて1つのチームなんだっていう、そういうものがすごく現れてるなと思って。もちろんエンブレムもそうですけど、今年の取り組み自体もすごくグランパスらしさが出たシーズンだったなと思います。ただ、結果がついてこなかったことが悔しい。それだけです」

Q:そうした思いが大きければ大きいほど、燃えるタイプですね。
「いや、もうほんとにキツいんです、最後の最後まで走るっていうのは。1試合で12キロ、11キロ、スプリント30回とかするとほんとヘロヘロで。ただ、ここがチャンスなんだとか、ここがピンチなんだっていう時になんで戻れるかって、どんな苦しい時も応援してくれてるサポーターの人たちがいるから。そういう人たちの顔が思い浮かぶんで、やっぱ走れるんですよ、僕は。そういう気持ちを最後まで、ずっとサッカー人生で大事にしていきたいなと」

Q:他の選手たちのエンブレムを見た反応はいかがでしたか。
「最後の最後に残ったのが、このオブジェクト的なものと、文字ベースのもので。でも、みんなどっちになってもすごくかっこいいって言ってたし、グランパスらしさがどちらにも出ていたので、みんなもこれに決まった時に『あ、そっちね』という反応もなかったんですよ。『あ、いいね』みたいな、そういう反応がすごく多かったなと思います」

Q:この新しいエンブレムが胸にあることで、スプリントのスピードはどうなりますかね?
「時速35.1キロ目指していきます!(笑)。永井選手はもっと速いので、35.5キロぐらい行きますよ。エンブレムのおかげで(笑)」

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