赤鯱新報

【赤鯱探訪】磯村亮太編① 「楽しくなくなったわけじゃなく、ただ目標がなくなった」

赤鯱探訪 第19回
磯村亮太
(2009~2017 名古屋グランパス所属)
またひとり、名古屋グランパスの魂をもった選手が引退の時を迎えた。栃木との契約が満了した際には現役続行の考えもあったというが、磯村亮太の選んだ道は、現役を退くというものだった。まだ31歳。まだやれる、やれるはず、と思ったのは筆者だけではなく、周囲からもそういった声は多かったという。黄金期のトップチームに昇格し、苦しい新人時代を経て着実に戦力へと成長していった過程の中には、残留争いやクラブ初のJ2降格などの厳しい記憶と、チームを支える主力としての喜びの両方が混在している。久々に見た磯村の表情は穏やかで、闘う漢の表情だった名古屋時代とはまた違った魅力もたたえていた。「長く続けることにはこだわりはなかった」としながらも、サッカー選手であり続けた14年間を振り返りつつ、磯村の次なる道への想いも聞いていく。

赤鯱探訪・磯村亮太編①
「楽しくなくなったわけじゃなく、ただ目標がなくなった」

Q:2022年シーズンいっぱいでの引退を発表されて少し経ちますが、やっぱり年齢的には早いと皆さんが思っているのではないでしょうか。
「そう言われますね、『まだやれるだろう』みたいに。でも、やれないと思ったから、辞めるわけですけどね(笑)。…でも、ここ数年はけっこう考えてはいたんですよ、ずっと。いつだったかな、コロナ禍が始まった年ぐらいにも、シーズンが終わった時に、もう今年で辞めようかな、みたいに思ったことがあって。代理人とかにも少し話をしてはいたんです。でもその時は特に何か他にやりたいことがあるわけでもなかったし、ここで辞めるのもやっぱり違うよな、みたいな感じで。ここ数年は自分がどこにモチベーションを持ってサッカーをやればいいのかがわからなくなっちゃったんです。それまでは自分の中に目標があってやっていたところが、結局のところそれを見つけられなくなったというか。それが理由の一番かなと思います」

Q:サッカーが楽しくなくなった、みたいなことでもなく?
「いや、そういうわけではないですね。サッカーは楽しかった。むしろあの最後の方、ここ数年の方がサッカーは楽しかった。こういう考え方もあるんだとか、そういう部分ではすごく面白かったんですよ。だから楽しくなくなったわけじゃないけど、ただ本当に目標はなくなってしまった、みたいな。こうやって改めて聞かれると答えるのは難しいけど、本当にそんな感じなんです」

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