赤鯱新報

【名古屋vs川崎F】レビュー:危険水域に身を投げ出した夏の夜。理想の先に見える勝利より、勝利の先に見える理想を追求せねば、泥沼は底なし沼になる。

■2016明治安田生命J1リーグ 2ndステージ第2節
6月25日(土)名古屋 0-3 川崎F(18:06KICK OFF/パロ瑞穂/16,780人)
得点者:36’小林悠(川崎F)53’大久保嘉人(川崎F)77’中村憲剛(川崎F)
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悪循環。まさにこの言葉がぴったりとはまる90分間だった。選手起用、組み合わせ、戦術、個の闘争。すべてが悪くはないのだが、どこかチグハグしていて全力を出し切れていない。確かに新戦力2名をほぼぶっつけで起用せざるを得ないチーム状況は考慮すべきかもしれない。加入してすぐ開幕してしまった後半戦の中で、チームに馴染むまで待とうという猶予は上位チームですらそれほどない。ましてや、名古屋のように下位からの脱却を図るチームには一刻の猶予もありはしない。1stステージと2ndステージの切れ目がない今季のスケジューリングは、劣勢のチームには実に優しくない。

だが、それにしてもこの日の名古屋の戦いぶりは目に余った。指揮官は今季、何度か「完敗」という言葉で敗戦を表現したが、自分たちが何もできなかった、させてもらえなかったという双方の要素を多分に含んだという意味では、今季最大の完敗とも言えた。

気になったのは、選手の組み合わせだ。磯村亮太の出場停止と、永井謙佑の負傷悪化による欠場を受け、小倉隆史GM兼監督は思い切った選手起用に踏み切った。空いた中盤の底に扇原貴宏を置き、永井の左サイドには前節でも同じポジションをこなした野田隆之介をチョイス。そして2試合連続でトップ下を務め、前節は退場劇の中で戦術的な交代を強いられた矢田旭をメンバー外としてまで、ハ デソンを攻撃の花形ポジションに据えた。しかしハ デソンは守備があまり得意ではないうえにコンディションも万全とは言えず、攻撃ではボールキープやスルーパスなどに能力の片鱗を見せたが、シモビッチとのFWコンビに守備力はほぼ望めない状態だった。

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