【赤鯱短信】楢崎正剛、現役引退。多くの人が惜しみ、しかし感謝するその存在感の大きさに、ビッグリスペクトを。
「現役生活を終えることを決めております」。
今年の年始の挨拶には、大きすぎる驚きが添えられていた。正直、予期していなかったので心臓が高鳴るどころか静まり返ったのを憶えている。名古屋どころか日本サッカー界のレジェンドの一人がスパイクを置き、グローブを脱ぐ。その事実は引退発表の反響を見るまでもなく大きい。
自責の守護神。前日本代表監督にして元名古屋の監督でもある西野朗氏の表現が、楢崎正剛という選手を見事に端的に言い表している。失点の責任はGKだけにあらず、むしろチームの責任であるところがほとんどであるにもかかわらず、彼は常に失点の責任をその肩に背負い続けてきた。「GKにはノーチャンス」という言葉が我々メディアの常套句にはあるが、決してそれを認めない男である。「スーパーゴールと言っても、どこかで止められるチャンスがあったかもしれない」。飛んできたシュートをいかにさばくかだけでなく、その前段で食い止められたのではないか、自分の技術で何とかできたのではないか、チームを勝たせられたのではないかと自問を繰り返す24年間だったに違いない。
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