赤鯱新報

【鳥栖vs名古屋】プレビュー:崖っぷちだからこそ、積極的に前へ。逃げずに戦う姿勢から、反撃の灯火は生まれる。

■2016明治安田生命J1リーグ2ndステージ第4節
7月17日(日)鳥栖vs名古屋(19:00KICK OFF/ベアスタ)
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様々な意味において、“原点”へと立ち返る時だ。今季の自分たちが目指してきたスタイル、自分たちのストロングポイント、そしてサッカー選手としてのファイティングスピリット。3連敗でステージ最下位に落ち込んだ名古屋がすべきことに何ら複雑なことはない。

チームの現状認識は潔く、しかし厳しい。小倉隆史GM兼監督は川崎F、鹿島と続いたこの1週間の戦いを振り返り、「この2戦は力の差があった、明らかに」と口を真一文字に結んだ。とりわけ鹿島との一戦については試合翌日の練習冒頭で選手たちに「どう思った?」と意見を求めつつ、「根本的なところをアントラーズには見せつけられた。サッカーはね、戦うスポーツだよ」と、試合を戦う姿勢から負けていたと語りかけた。指揮官は鹿島がターンオーバーしたことでなおさらにメンタル面での差が出たとも考えており、「垣田にしても永木にしても赤崎にしてもギラついていた。ブエノも。そういう集団、クラブは強い」と、重ねて闘争心の差を敗因に挙げ、選手たちを焚き付けた。仲間たちを病院のベッドの上から応援していた小川佳純も「鹿島の選手は戦っていた。自分がつかんだ選手へのプレスを徹底していたし、後ろ向きの相手にはガツンと来る」と、素直に鹿島の激しさを称賛する。名古屋はどうかといえば、初めて名古屋のサッカーをピッチ内で体験した酒井隆介が「ダラダラ追いかけるから、どこで取ればいいかがわからなくなる」と感じるほどに低調だった。新加入選手が90分で問題点を把握できてしまうのだから事態は深刻だ。対戦相手がそれを、見抜けないわけがない。

2ndステージ3試合で7失点を喫し、ステージでも年間でも現在最多失点のチームにとって、改善点の第一優先が守備にあることは明白だ。しかし、だからといって守備を固めた方が良いかといえば、その考えは短絡的に過ぎる。引いて守るチームには我慢の展開をものにする忍耐力と集中力、チームとして作戦を遂行する組織力が必要だ。名古屋が抱える問題はあまりに簡単に失点してしまう散漫な守備であり、2ndステージでの7失点のほぼすべてが人数が足りている中での失点という事実を思えば、守りに徹することが得策とは思えない。

それよりも手掛かりにすべきは、今季得た勝利の原動力が何であったかではないか。

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