「川崎フットボールアディクト」

望月達也アカデミーダイレクター「クラブとしてアカデミーをサポートしてもらっているというのはすごく助かってますし、そこは他のクラブとの違いは感じます」2/2【インタビュー】

■フロンタウン生田
――現在、フロンタウン生田を整備していますが、施設ができたあとのメリットは大きいのかなと思います。アカデミーの中でそこについての議論はありますか?
「やっぱり本拠地ができるのは大きいですね。基本的にアカデミーが優先的にグラウンドを使えるっていうのは、今の等々力第一とか富士通スタジアム川崎とは違うので。自分達のグラウンドがあるというのは、空いていればある程度自由に使いやすいという部分はメリットですからね」

――あとは麻生グラウンドが近くなるメリットは?
「距離はあまり関係ないかもですね(笑)。今も必要だったら選手は呼ばれているので。また、去年ぐらいから年に何回かはトップがU-18と練習試合をやってくれているので。それは本当にトップに感謝したいところです。鬼木監督が動いてくれて…、U-18にとってもモチベーションというかとてもメリットがあるところだと思います」

――トップとの練習試合は、距離感が分かるという意味でも大きいですね
「そうですね。U-18の選手にしてみたら自分が今どの立ち位置にいるとか。やはりこういう部分がまだ足りないとかという指標にもさせてもらえるし。あとは個人差はありますけど、やっぱりトップの選手と接することができて話ができたりとかの機会にもなるし、選手によっては鬼木監督が直接アドバイスしてくれてますし、それはもう本当にね、メリットしかないですよ」

――大関(友翔)くんが中村憲剛さんにフリーの定義を改めて教えてもらいましたってことを言っていて、そういう言葉が多分トップの選手だったり、オニさんから同じようにあるんでしょうし。
「憲剛もそうですし、今のトップの選手たちもU-18の選手からしてみれば、憧れの選手、存在ですからね。同じクラブの選手だといえども、僕らには分からない喜びは大きいと思います」

――ところで、育成年代の課題と言われてるのが中学生年代の育成ですが、その辺についてフロンターレのアカデミーとして中学生年代について特に考えていることってありますか?
「それぞれのカテゴリーでそれぞれ課題と、いいところと両方あります。まず課題の話なんですけど、今で言えば中学生ってまず一つは、小学6年生が中学1年生になる時に、フィールドの大きさと、ボールの重さ・大きさと、人数が変わりますよね。だから、まずここが一つ中学1年生にとって大きな変化になるんですよね。2点目は、やはり中学の3年間、これ個人差がすごくあるので言い切れないですが、中学の3年間でやっぱり体が凄く大きく変化する」

――確かに成長にばらつきが出ますね。
「3つ目は、明らかに小学校の時と中学校の3年間で、学校の勉強の形態が変わります。専門性が多くなったり、小学校では順位が出るようなテストはあまりやってないですし、やはり中学では勉強の部分でそうやって、ちょっとずつ振り分けされるような環境がある。明らかに学業の部分においてもちょっとレベルが上がる。これらを総合的にまとめて4番目がメンタル的な部分。子供の部分と大人の部分が混在し、両方成長していく中での難しさ。ある意味、成長の段階で良いことだとは思うんですけどね、選手がそうやって物の見方が変わっていくのは。あとは小学校の頃に比べて、たくさんの情報を自分で取れるようになったりとか。多くの変化が見られる時期であり、そういう意味でメンタルケアっていう面では、カテゴリーのコーチ陣もすごく大変な部分はあると僕は思います」

――クラブによっては、複数個のジュニアユースを作ったりして受け皿になろうとしているところもありますけど、そういう発想というのは今後、例えば生田と富士通スタジアム川崎で2つ作るとかっていうのは?
「中学生に関しては、そんなことも考えても良い時期だと思います。ただ1度に幾つも増やすのは、なかなか難しいですね。グラウンドや指導者の問題も出てくる」

――確かに指導者は大変そうです。
「あとはちょっと下世話な話ですけど、やっぱり僕らアカデミーも会社の予算の範囲内なので資金的には制約があります」

――そこでセレッソさんがやっているハナサカクラブというような、サポーターがお金を出してアカデミーの運営資金に充てるような活動はどうなんでしょう?サポーターがアカデミーの運営を資金面で手助けしたいという話です。
「詳しい知識が無いのでわかりませんが、セレッソさんはアカデミーの運営組織を一般社団法人にしているからですかね。マリノスさんもそうですが、アカデミーについてはどこまでサポーターに関わってもらえるのかも課題ではないかと。資金的な部分が関係してくる場合は、ちょっと難しいところがありますよね、なぜならば、選手達はまだ子供だから。守ってあげなきゃいけない部分もある。そうした前提の中で、クラウドファンディングなどのアイデアもあります。子供達への資金提供は、1円でも多い方がクラブとしてはありがたいです。
ちなみに今アカデミーのユニホームについてる志水商店(株式会社志水商店)さんはアカデミーに特化したスポンサーさんなんですよ。トップには入ってないんですけど、アカデミーには入ってます。これは営業からの話ですが、スポンサーさんがスポンサードするにあたり、ぜひアカデミーに投資したいという言われる方々もおられるみたいで。そうした思いというのは僕らクラブとしてはすごく助かってます」

――アカデミーへの注目度は意外と高いと思います。
「フロンターレって、日本の中ではトップレベルにアカデミーを応援してくれる人たちが多いと思うんですよ。そこはありがたいし、選手からしてみてもすごく嬉しいことです。今年プレミアリーグは富士通スタジアム川崎でやって一番入ったゲームは2,300人ほど(第11節の桐生第一戦、2,357人)。そんなのなかなかないですからね」

――等々力でも入ってましたし(第6節柏U-18戦、1,983人)、一部のJ3よりも入ってますよね。
「少ない時のJ2よりも多いかも、ですよね(笑)」

――だんだんU-18も結果が出てきてるので、認識をしてもらってる層が増えている感じはしています。
「それって、もう何年もそうなんでしょうけど、ヤンフロ通信を筆頭に江藤さんもそうですけど、いろいろなところでアカデミーを取り上げてくれたりとか、アカデミーの試合にクラブ広報や運営が関わってくれたりするのも大きいと思っています。それは恐らく他クラブより多いと思うんですよね。だからそういう意味ではクラブとしてアカデミーをサポートしてもらっているというのはすごく助かってますし、そこは他のクラブとの違いは感じます」

(取材・構成・写真/江藤高志)

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