「川崎フットボールアディクト」

望月達也アカデミーダイレクター「クラブとしてアカデミーをサポートしてもらっているというのはすごく助かってますし、そこは他のクラブとの違いは感じます」2/2【インタビュー】

【告知】
10月15日(土)に川崎U-18が等々力でプレミアリーグEAST第18節の横浜FCユース戦を行います。
有観客での開催になります。キックオフは14時です。U-18にとっては今季の最後の等々力開催の公式戦となります。よかったらスタジアムで選手たちの活躍をご覧ください。
開催情報

川崎U-18が今季初昇格した高円宮杯U-18プレミアリーグで結果を残している。10月9日時点で16試合を消化し、11勝3分2敗の暫定首位の成績。今季は開幕からの12試合を無敗で通過するなど昇格初年度とは思えない活躍を見せている。
順位表

そのU-18を筆頭にアカデミーの運営に携わる一人が望月達也アカデミーダイレクターだ。2021年5月19日に就任が発表された望月氏は、2012年から14年までの3年間、トップのコーチを務め、暫定監督として指揮も取った過去がある。その望月氏の就任の経緯や現在の業務内容、アカデミーに関する考え方などについて聞いた。全2回の2回目。無料公開。

■止める蹴るの一般化
――外部から戻ってこられて、フロンターレの長所、短所、両方見えてきたところはどうですか?
「これが組織の短所だなという風には、あんまり思ったことはないですね。長所については、よくウチのサッカーって止めて蹴るって文脈で風間(八宏・元監督。以下ヤヒさん)さんが出てくるじゃないですか。ヤヒさんはヤヒさんですごく影響を与えた部分があると思うんですけど。ただアカデミーについてはヤヒさんと3年一緒に仕事をした中で、そんなに多くは指導していない。自分が居た3年間で、麻生でやった指導者講習会を含め、数回くらいですかね。つまり、その頃から既にアカデミー自体は自立していたということ。だからこそ、三好が出てきたり、板倉が出てきたり」

――彼らをジュニアで指導していた髙﨑(康嗣・現テゲバジャーロ宮崎監督)さんはかなり昔から止める蹴るを教えていました。
「だから、タカ(髙﨑さん)にしても、今いるクニ(石川邦明・現U-12監督)、玉置(晴一・現U15監督)、長橋(康弘・現U-18監督)もみんなそう。キンちゃん(今野章・現U-15Bコーチ)やベティさん(久野智昭・現U-18コーチ)、周平(寺田・現トップコーチ)はトップもアカデミーも見てましたしね」

――昔からやってきたことを、止める蹴るという言葉で表現させたのが風間さんだったということですかね。
「サッカーでは止めて蹴るは当たり前ですからね。あとは、止めて蹴るっていう部分の認識が全然違うというのも感じてました。実際、当時一緒にトップの練習を見ていても、ボールが止まっていない。それは自分も含めて止まってないし、ボールを蹴れてないし、ボールを運べていなかった。でも、ヤヒさんのサッカーの理論の中ではそんなのはできて当たり前で、それに特化して表現したのがヤヒさんだったんだなと思います。それとは別に、フロンターレのアカデミーに関しては、言葉の使い方とかは別として、サッカーのスキルの部分に関しては、やっぱりこだわってアプローチをずっと続けていて、その成果が今になって出てきていると思います」

――風間さんがフロンターレに来た直後から考えれば、今やサッカー界の中で止める蹴るは当たり前になりました。
「フロンターレのアカデミーが技術面を大事に指導してきたというのは、恐らく間違いないと思うんですよね。そこにヤヒさんがある部分で影響を与えたのも事実だと思いますが、止めて蹴る、運ぶとか外すとかっていうのは、昔の清水ではそんなの当たり前だったんですよね。その基準を示したという意味ではヤヒさんは大きかったと思います」

――止める、を定義付けて指導されてました。
「たぶん、それまでの監督さんって、どうしても戦術的な部分からのアプローチが多かったのだろうと思いますよ。でもここのアカデミーは、技術面についてはしっかり教えてきたはずで、だから(三好)康児とか(板倉)滉は、高校1年生くらいから、何度もサテライトというか上の方に来て、試合とか一緒にやってました。そのベースは元々はジュニアを作った時からあったはずで、アカデミーで彼らが受けてきた指導が良かったのだと思います。もちろん、大前提に選手選考という部分もありますけど」

――選手選考では近年選手が来てくれるようになっているという話があるみたいですね。トップの成績と関係しているんでしょうけど。
「トップの成績はもちろんですけど以前に比べたらマリノスさんとか、ヴェルディさんが上だったのが、今は同等に戦えるようになり始めているところがありますね。
もう一つあるのはトップから一貫して地域密着に特化してきたという部分ですかね。指導者の中でも、地域とのつながりを大事にしています。うちだったら藤原(隆詞・地域担当コーチ兼スクールアドバイザー)がトレセンをやってくれて、やっぱり、上に上がっていく選手達がある程度地域の子達であれば、地域の人達も注目してくれますからね」

――フロンターレは基本的には川崎市内へ通える子というこだわりがありますよね。
「アカデミーは通ってくれる子供達で構成するっていうのが現状自分達のスタンスです。それはルール化しているわけじゃないですけど、多少遠くてもちゃんと自分で通える子。練習時間に間に合うように自分で来られるという距離の中でのアプローチです。だから東京から来る子や、千葉からっていう子も居ますが、一番多いのは川崎の子達で、地域の人達との関わり・交流も多いです」

――サポーターと話していてもあの選手はうちの学校の後輩なんですよ、なんていう話を結構聞きます。
「一番理想的なのは地域の子から選手が出てきて周囲のサッカーを知らない人達もその子を応援してくれるような雰囲気になること。それがチームへの応援につながって、相乗効果が生まれてくる。そういうところがうちのクラブの基本的なスタンスでもあるので」

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