「川崎フットボールアディクト」

脇坂泰斗、祖父に捧げるゴールでもあった【コラム】

脇坂泰斗がいつもより喜んでいるなと感じていた。広島戦の話だ。59分にチーム2点目を決めた直後。弾けるような喜び方をしていて印象に残っていた。その脇坂が、祖父を亡くしていたのだと明かした。

「特別気持ちは入っていたとは思いますし、やっぱり直接対決って意味でもそうですし」

喜びの理由の一部を広島とのライバル対決に求めた脇坂は、「個人的な事を言ったら、、、」と口にしてしばし絶句した。そして絞り出すように、亡くなられた祖父のことを語り始めた。

「祖父が亡くなってしまったというのもありますね。結構僕にサッカーの楽しさを教えてくれた人でもありますし。ちっちゃい頃からずっと、自分のサッカーを応援してくれてきた人なので。そういった意味でも、特別うれしい気持ちになりました」

今回不幸があったのは、脇坂にとっては母方の浜松在住の祖父。祖母と共に小学生のころの脇坂をヤマハスタジアムに連れて行ってくれた大事な祖父だった。ヤマハスタジアムでの試合観戦も含め、サッカーの楽しさを教えてくれていたという祖父母を脇坂は、2019年6月30日のアウェイの磐田戦に招待している。

スタンドから共に試合を見ていた祖父母に、プロ2年目の脇坂は、ヤマハスタジアムで初めてプレーする姿を見せ、さらにはゴールまで決めてみせた。当時、笑顔でそのエピソードを話してくれていた、そんな大事な祖父を亡くしていたのだという。

本件については多くを語ることはなかったが、脇坂にとっては天国に届けるゴールでもあった。

※以下は、2019年6月30日の試合を受けて、当時書いたものです。

脇坂泰斗、祖父母に見せたヤマハスタジアムデビュー戦【コラム】

最後になりますが、心よりお悔やみ申し上げます。

(取材・文・写真/江藤高志)

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