赤鯱新報

【フォトレポート】激戦ながら攻撃陣が不発、無得点で神戸と勝点1を分け合う結果に。U-18プレミアリーグWESTレポート。

■高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 WEST 第9節
2023年06月25日 11:00 KickOff/トヨタスポーツセンター(天然芝)
名古屋グランパスU18 0-0 ヴィッセル神戸U-18
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6月25日に行われたプレミアリーグWEST第9節、ヴィッセル神戸U-18との対戦は夏の始まりを感じる暑さの元で行われた。試合前の円陣はさらに熱く、暑苦しいほどのテンションだった。

FC東京戦の翌日、6月25日に高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグWESTの第9節が行われ、名古屋U-18がホームに神戸U-18を迎え撃った。杉浦駿吾がU-17日本代表で不在、鈴木陽人がU-19日本代表での負傷により欠場、他にも岡本大和や源平倭人が負傷離脱し、体調不良により那須奏輔がベンチスタートという苦境の中、古賀聡監督の決断は実に挑戦的なものだったと言えるだろう。前線4枚の顔ぶれはサイドハーフに石橋郁弥と八色真人、ツートップは野中祐吾と大西利都。4人中3人が1年生であり、右サイドバックの森壮一朗も合わせれば、16歳が4人も含まれる布陣には期待と不安が入り混じった。

キックオフ。この日のツートップは1年生コンビだった。野中祐吾が勢いよくDFにプレッシャーをかけていく。

試合のペースはおおむね神戸の方にあったと言える。名古屋U-18の武器である速い攻撃、ダイナミックな速攻は神戸のDFライン、とりわけ高さも強さもあるセンターバック陣によってうまくさばかれ、1年生コンビは苦戦しきり。起点ができなければ攻撃に厚みも出しにくく、内田康介と野田愛斗のボランチ2枚も効果的な攻撃を構築できずに試行錯誤を繰り返した。ここ数試合の公式戦で得点を量産していた石橋郁弥には「守備が2枚来ているなとは思った」(石橋)と複数マークをつけられ、得意のカットインシュートも見せたが良い形でインパクトするまでには至らず。クロスやセットプレーに強みのある相手には大田湊真やピサノアレクサンドレ幸冬堀尾ら高さのある選手がしっかり対応し事なきを得ていたが、セカンドボールの回収や守備のはまらなさは依然として残り、攻守の連動感がなかなか出せなかった。

何とか状況を打開しようと試みる石橋郁弥。カットインからのシュートはこの日は残念ながら決まらず。

後半になっても基本的な展開は変わらず、何とか前線、攻撃に迫力を増したい名古屋は大西に代えて那須を入れると背後への動きが増えたことでやや持ち直したが、やはり守備に追われる時間が多く膠着した。神戸はカウンターも遅攻もどちらも使い分けてアウェイチームを攻め立てたが、フィニッシュの精度を欠いてなかなか試合を決められずにはいた。名古屋は内田のミドルシュートや石橋の突破、セットプレーでも惜しい場面を作ったが、やはりネットを揺らすには至らずあっと言う間にゲームは終盤へ。88分に入った西森脩斗のヘディングシュートがGKの好守に遭うなど詰めの甘さは最後まで尾を引き、長田涼平の負傷交代後も安定感と粘り強さを保った末の勝点1には、様々な価値観が伴う。勝てたところもあり、負けなくて良かったと思う部分も両方ある。選手たちからしてみれば、当然のごとく勝てた試合と思っていても、厳しい場面も相応にあった90分間ではあった。

浮かない顔で挨拶に回る選手たち。どちらにもチャンスのある試合だった。

WESTは静岡学園が頭一つ抜け出したところがあり、追う立場の名古屋は勝って食らいつきたいところではあった。だがなかなかベストメンバーを組むことができずにいるチーム状態を思えば勝点1をけなすことはできない。「クラブユースの予選とかもありましたが、プレミアでもゼロで抑えた試合というのは、けっこう限られている」とクリーンシートに一定の手応えを持つピサノを始め、これをしっかり最低限の結果と捉えて次を見る選手たちは貪欲だ。高校年代の最高峰リーグがはまだ折り返し地点の手前である。まだまだ挽回と躍進のチャンスは残されているだけに、選手たちのさらなる成長と進化に期待をしておきたい。

reported by 今井雄一朗

□試合フォト

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