赤鯱新報

【赤鯱短信】ケガを踏み台にする決意と覚悟。新井一耀もまた、「前」しか見ない。


戦士の休息。42試合の長らくに渡ったJ2リーグのレギュラーシーズンが日曜日に終わり、チームは束の間のオフを挟んで千葉とのプレーオフ準決勝への準備に入る。負傷者続出の時期もあった今季だったが現在はほぼ全員が戦列に復帰し、風間八宏監督のトップグループの選定にもかなりの幅が出てきた印象があるが、一方で松本孝平の左アキレス腱断裂という悲報がチームを襲ってもいる。負傷はアスリートの常だが、だからといってそういうものだと割り切るには忍びない。日々の取材の中でそうした選手たちを見るに、何ともやりきれない気持ちになる。

救われるのは、負傷した選手たちがみなポジティブな取り組みと前向きの表情を見せてくれることだ。足首の負傷がかなり良くなり、ボールを蹴りだした梶山幹太は「だいぶ動けるようになってきましたよ」と、どこかたくましさを増した顔で笑う。松本も同様だ。「一からやり直す時期だってことです」という言葉を口にするのは、そんなに容易なことではないだろう。彼の精神力の強さには、感心を通り越して感動すら覚える。それは、左ひざの前十字靭帯断裂を初めとする複合的な重傷を負った新井一耀についてもだ。9月9日の大分戦で負傷し、患部の状態が収まるのを待って同27日に手術に踏み切った。少しでも術後の経過を良くするためにできる限りの筋トレを課して“貯金”を作っておいたものの、やはりオペと入院生活の影響で筋力は激減。1ヵ月半を経た今は失った筋力を取り戻すことに全力を注ぐ毎日を過ごしている。

「今はバイクをこいだり、自重ですけどスクワットをやったり。片足でのスクワットもあるので、だいぶできるようにはなりました。退院した時の左足はやっぱりだいぶ細くなっていたんですが、膝の腫れは最初に比べて元通りには近づいてきてはいます。可動域は伸ばしも曲げも悪くない状態ですし、これを続けてもっと良くしていくというのが現状です。まだ、思い切り曲げると痛いので、膝は曲がりきらない感じなんですが。
このオフはほとんどないものと思っています(笑)。目安としては3ヵ月でジョグをするという感じだったんですけど、今のペースならもしかすると2ヵ月半くらいで行けるかもしれなくて、そうなればいいなと思っています。むしろオフに入る前にジョグを開始できたらなと思っているので、最初の目標はそこになりますね。今のところは」

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