赤鯱新報

【赤鯱短信】田口泰士ミニインタビュー。「あの試合に出ていたのはオレぐらい。なおさらに自分が、って思うよね」

昇格が決まるかもしれない湘南よりも、名古屋の方が意識することの多い今節の戦いだが、誰よりも強い思いをもってプレーに臨むのが田口泰士であることに異論をはさむ余地はない。昨季最終節に出場した唯一の現状のスタメンであり、今季の前回対戦の結果にも誰より悔しさを滲ませていた男だ。実を言えばその感情を露わにしたことは筆者にとっては少し意外だった。もっとクールで、感情を引きずらないタイプだと思っていたからである。かなり忘れっぽい性格であることはさておいても、「湘南には負けたくなかった」と語る田口の表情には、好ましい人間的な成長を感じたものだった。逆に言えば、あの出来事はそれほどまでに大きなショックでもあったのだろう。

あれから約1年が経ち、同じ場所で同じ相手に相対する田口泰士に話を聞いた。それほど深い話をしたわけではないが、言葉の端々には彼の秘めたる思いが見え隠れする。4位で足踏みする現状を何とかしたい気持ちは強く、それゆえに彼はリーダー然とした振る舞いを見せることも増えている。「しんどいからですよ」と謙遜する顔は笑っている。くすぐったいのだ、成長を人に褒められるのが。「特別なことはしていない」と逃げる田口だが、十分に特別なことはできている。新たな武器として誇示するようになった、セットプレーの強さも含めて。

いざ湘南戦である。今回は田口の想いを、ミニインタビューとしてストレートにお伝えしようと思う。

Q:今回の湘南戦は瑞穂での試合ですし、余計に気負う試合にもなりますか。
「まあね。個人的にというか、チームとしてすごく大事な試合だし、湘南が勝ったら昇格が確定するかもしれないんでしょう? そういうのも目の前で決められたくないし、そういうタイミングでオレたちと対戦するっていうのは、去年の最終戦もそうだったけど、いろいろ重なっているものがあるからね。普通にホームで負けられない試合だということもあるし、なおさらだよね。去年の悔しい思いだってある。あの試合に出ていたのは、今ではオレぐらいになっちゃったでしょう?」

Q:そうですね、前節のスタメンで言えば田口選手ただ一人になってしまいます。
「でしょ? オレ以外の選手はそうではないかもしれないから、なおさらに自分がと思うよね。仮に去年いた選手、例えば永井さんとか、堅碁とかが今もいたとしたら、オレと同じ気持ちだと思いますよ。ただ、そこまで強く考えるよりは、残り試合は本当に勝たないといけない。チームとして」

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