【特別インタビュー】市之瀬育成GMが語るステンリー・ブラードの素顔「第3回:育成に対するすさまじいバイタリティー」
いよいよ始動を目前に控えた小倉隆史GM兼監督が全権をもって率いる名古屋グランパス。その右腕としてトップチームのヘッドコーチと育成のアドバイザー的な役割であるスポーツダイレクターの職に就くのが、ステンリー・ブラード氏だ。2002年から2004年の間に名古屋でユーステクニカルダイレクターとU18監督を兼任した人物は、ヨーロッパでは引く手あまたの育成のプロフェッショナル。今回は前回に育成組織でともに仕事をし、大きく影響を受けた市之瀬秀樹育成ゼネラルマネジャーに、ステンリーコーチの素顔についてインタビュー。全3回に分けて紹介する。
第1回:オランダ人だけど浪花節
第2回:サッカーは1974年から変わっていない
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第3回:育成に対するすさまじいバイタリティー
ステンの育成に対する考え方をコーチという面から見ると、16歳~18歳の選手は体格や体力的に問題があろうが、可能性があればとにかく使う。目の前の試合ではなく、将来性が見えればそこに躊躇はなかったね。吉田麻也なんてそうだよ。彼が高校1年生の時がステンの最後の年だったんだけど、麻也のミスで失点しようが何があろうが、使い続けた。ほかにもステンがいた頃の最初は毎年オランダに遠征に行ってたんだけど、その最初はU18チームに今度入る新高校1年生も連れて行ったんだよ。そこで津田知宏なんかはガンガン使われてね。まあ、これはもう知っている選手を使うより、せっかくだから知らない選手を使おうということでもあったんだろうけど、結果的には津田はそこからレギュラーで3年間出続けた。麻也と同世代のユースの選手たちは最終的にかなりの数がJリーグでプレーしたんだけど、それはみんなステンがどこかで関わっている選手たち。すごいことだよね。でも、ステンはそういう部分を鼻にかけない。自慢しない。「オレがアイツを育てた」なんて言う人間は、アカデミーの人間として良くないってことだと、一緒に仕事をしていた人間としては推測する。自分は少しの時間関わっただけで、育てていないんだと。それでいて、クラブのためには出し惜しみを決してしない。ヨーロッパでだって引く手あまたの人材だよ。だから、来季以降はウチの育成スタッフたちが、どれだけトップのクラブハウスなりに足を運んで彼から話を聞き出せるかも重要になってくると思う。限られた時間の中でね。
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