試練を乗り越えろ、車屋紳太郎【コラム】
■最終戦に続く負傷交代
サッカーの神様は時々ひどい試練を選手に与える。
開幕戦で負傷した車屋紳太郎の件だ。
2月18日のFC東京戦との開幕戦は1点をリードした試合終盤の86分。空中戦を戦った車屋はバランスを崩し、右肘からピッチに落下。右肩を痛め途中交代を余儀なくされた。
タンカに乗せられてピッチをあとにする際、付き添ったドクターは負傷した右手を持ち上げ続けていた。特定の姿勢になると痛みが発生するのか、患部を適切な状態に維持するためだったのかはわからないが、サッカーの試合ではあまり見ない姿勢での退場だった。
その車屋は昨季のリーグ最終戦でも負傷交代している。ギリギリのプレーの結果のやむを得ないものだったが、そのケガの影響で今オフ期間中はリハビリと回復に専念していたという。
ジェジエウが出遅れることがわかっていた今シーズンは、その穴を誰が埋めるのかが問われていた。車屋はその一番手としての立場を自覚し、またCBに転向し戦った2021年シーズンの経験を踏まえ、覚悟を持って肉体改造に取り組んでいた。
沖縄合宿中、全体練習後にも長く居残り体に負荷をかけ続けていた車屋はジェジエウの穴を埋めるだけでなく、ジェジエウ復帰後もそのポジションを奪うのだという気概を持ってシーズンに臨んでいたのだろう。
その努力の末にスタメンを掴んだ開幕戦だっただけに右肩の状態が心配だ。2月20日昼の時点でクラブからはリリースが出ていないが、負傷の度合いが軽度であることを願いたいと思う。
■熊本愛
話は変わるが、車屋という選手は地元熊本が大好きで、時間さえあれば熊本に帰っているという印象がある。今オフの当初の予定がどうだったのかは定かではないが、地元に帰り当時の仲間達と集まることを好んでいたと聞いたことがあった。
2016年の熊本地震発災の際には同郷の谷口彰悟とともに街頭募金の先頭に立ち、試合の合間を縫って被災地を訪問し現地のニーズに沿った支援品を届けていた。被災した熊本城の姿に心を痛める様子も覚えている。そんな熊本愛を隠さない車屋が、今オフは治療とリハビリに専念していた。
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