「川崎フットボールアディクト」

名古屋の弱点を突く知念慶の先制点と、苦しい時間帯の脇坂泰斗の追加点で先勝/ルヴァン杯準々決勝第1戦 名古屋戦【レポート】

ルヴァン杯準々決勝第1戦
9月4日(水)(19:03KICKOFF/等々力/14,719人)
川崎 2 – 0 名古屋

■背後を狙う攻撃

等々力に名古屋を迎えたルヴァンカップ準々決勝第1戦は、チャンスを貰った選手たちの活躍と、相手の弱点を突く柔軟さもあり、2−0の快勝で終わる。

この試合の勝因は、前半15分の知念慶の先制点に象徴されていると言っていい。相手最終ラインの裏に対する長短のパスで名古屋を押し込む。試合開始直後には、谷口彰悟から前線の知念慶へのタテパスが通り、いきなりシュート。これはGK武田洋平にセーブされるが、すぐに奪い返すとボランチの守田英正が長めのラストパス。エリア内に飛び込んだ右サイドバックの馬渡和彰がこれを合わせた。立ち上がりから1分もたたず、2本のチャンスを作ったフロンターレはこの攻撃で名古屋の最終ラインの裏を突く攻撃の有効性を確認した形。

序盤から試合のペースを握っていたフロンターレだが、実はラッキーな一面もあった。名古屋の最初のチャンスとなった前半2分の攻撃。長谷川アーリアジャスールからガブリエル・シャビエルに通った際どいタイミングのスルーパスがオフサイドと判定。VTRで見直してもかなり微妙で、VARの対象のプレーに思える。となると、本来であればオフサイドの笛は吹かず、そのままプレーを流し、ゴールが決まったあとにVARで判定するのが正しい運用のはず。ところが副審はすぐに旗を上げ、それに応じて村上伸次主審は笛を吹いてしまった。

では15分の知念のゴール時はどうだったかというと、オフサイドと判断した副審は、しかし際どいタイミングだったため「オフサイドディレイ」という手続きで旗を上げず、プレーを流している。その後、知念のプレーがゴールで終わったあとにオフサイドではないかと伝え、改めてVARで判定した。

VARの運用上、2分のシャビエルの抜け出しの場面も、オフサイドディレイを適用し、プレーが切れたあとに改めてVARを使い判定する、という手続きが正当だった。もしそうなっていた場合、シャビエルの能力を考えるとこの1対1はかなり際どかった。

ちなみにすでに報じられていると思うが、村上主審は知念のゴールになったVAR時に、VARに入ったこと、そしてVARが終わったことを示すTVモニターを意味するジェスチャーをし忘れている(空間に四角を描くあれ)。Jリーグでの公式戦初戦となったVARは、これまでの試合と違い、旗を上げたり笛を吹くタイミングや手続きが異なっているため、VARなしの公式戦と並行させて行うのは簡単ではなさそうだ。

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