山梨フットボール

「栃木の覚悟ある割り切りに個々に頑張る11人が8分に屈してゲームプランは大崩れ。自動昇格は月の如し」【2019明治安田生命J2リーグ第36節 甲府1-1栃木 レビュー】


2019年10月14日 甲府1-1栃木(16:03K.O/山梨中銀スタジアム/入場者数7,063人/天候 曇 弱風/気温 25.0℃/湿度 42%)

得点者 8’大﨑淳矢(新潟) 88’アラーノ(甲府)

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「前線に能力の高いFWを大量投入して何とか引き分けも、先制点を許したアラートさに欠ける守備がゲームを壊した」

合後、いろいろな人と話をしたなかで“あれだけ攻めていたのに、なんで1点しか取れないのか”という感じ方の人が多かった。“確かにそうだなぁ”とは思いつつも、納得できなかったのは8分の失点の場面。DAZNで何度も見返せば最初の武岡優斗のボールよりもヘニキを見る競り方…、小出悠太が無理にヘッドをしないでスルーすればよかった…、河田晃兵が躊躇しないで出ればキャッチできた…、田中佑昌のクリアがもっと大きければ…、引いて川田拳登をフリーにした小椋祥平のポジショニング…、オフサイドを取ろうとして誰も大﨑純矢を見てない連携不足のDFライン…、股抜きシュートを決められた河田…、と全部正しいかどうか分からないけれど指摘したいところはいっぱい出てくる。

木は“つまらないサッカー”といわれようが“嘲笑”されようが、割り切ったサッカーで必死にJ2残留のために勝点を奪いに来ている“覚悟のある敬意を払うべきチーム”だったけれど、リーグ最少得点で21位のチームに開始8分に何度も防ぐチャンスがある展開の中で失点したことが最後まで納得できなかった。金沢戦(3-2○)の安い失点とは違うが、チームとして声を掛け合い、味方のミスをカバーする守備の連係感と自分のプレーで相手の攻撃を切るという責任感が足りない場面だったと思う。個々に頑張る選手が11人いただけ。

点直後は“オフサイド”と思っていたし、主審がラインを見ていた副審に確認に行ったので主審はオフサイドを疑っていたんだと思ったけれど、副審は自信を持って“オフサイドはない”と伝えたように見えた。試合後、知り合いのボランティアの人が「横で見ていた人が“完全にオフサイドだった”と言っていたよ」と教えてくれたし、J2では副審がオフサイドラインに追い付けていない場面を見たことがあったので、あの失点シーンも追い付けてなかったような気がしていた。でも、DAZNで見返せば副審はちゃんとラインを見ていたし、久富良輔が右からクロスを入れて、川田拳登がワンタッチでシュートした瞬間の大﨑淳矢とDFラインの位置関係を正確に素人が見ることができていたかは疑わしいと思うくらい、斜めから撮っているDAZNの映像はギリギリオフサイドではなかったように見えた。結論としては、川田拳がワンタッチでシュートしたためにラインを上げようとしていた甲府のDFラインは戻るタイミングを失ったし、ボールを見ていてライン上にいた大﨑と榊翔太が裏を狙っているのかどうかは見てなかった。榊はDFラインに合わせていたが、大﨑は裏を狙っていて、素晴らしいタイミングで裏を取ってワンタッチで決めた。ラインの一番後ろにいた武岡からのコーチングはなかったと思うし、田中もラインを合わせながらボールを見ていた。ワンチャンスに決めた大﨑が素晴らしいけれど、アラートさに欠ける守備だった。

奇麗な月に照らされた試合だったが、引き分けたことで自動昇格の可能性は月のように遠くなった。ただ、もうひと波乱はあるはずで、それをモノにするには6連勝が最低条件。そして、ライバルが都合よく負ける運も必要…。

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