「川崎フットボールアディクト」

ジェジエウがマルシーニョに掛けた言葉【コラム】

オンフィールドレビューを経てマルシーニョに退場の判定が下された直後、ジェジエウがマルシーニョに歩み寄り、何ごとか声を掛けていた。

舞台は横浜FMとの大一番。今季初の連勝がかかった大事な試合だった。審判からレッドカードを提示されたマルシーニョの心境はわからないが、悔しさはもちろん、チームに対する申し訳無さも感じていたはず。そんなマルシーニョを思い、ジェジエウは言葉を掛けていた。

「やはり連続で退場というようになってしまってますし、彼のメンタル面のケアというか、常に一緒にいるんだよということを彼には伝えました」

ミックスゾーンでのそれまでの和やかな表情を一変させたジェジエウが言葉を続けた。

「頭を下げるのではなくて、どんな結果でも引き続きトレーニングを積んで、一緒にまた戦っていこうというようなことは声を掛けました」

そして「やはりグループとしてチームメートとして支え合うことがとても重要だと思いますので、そこには意識していました」とその理由を明かした。

支え合いということで言うと、ジェジエウがフロンターレに加入した2019年シーズン。ジェジエウは当初、全く試合に絡めずベンチ外の日々が続いた。当然メンタル的な厳しさからコンディションを崩してもおかしくなかったが、そんなジェジエウをフォローしたのが当時チームに在籍していた通訳のガンジーさん(白沢敬典通訳)だった。

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そんなガンジーさんからのフォローを受けつつ、苦しいときを克服したからこそ、苦しんでいる人のことがわかるのかもしれない。もしかしたら、苦しむ経験がなくとも、もともとジェジエウという選手が人を思いやれる人間だということなのかもしれない。

いずれにしても、ピッチを去るマルシーニョに力強く声がけする姿が印象に残った。

(取材・文・写真/江藤高志)

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