鬼木達監督・引退を表明した大久保嘉人について「どういう選手が、ああいう選手になっていくのかとか。そういうものを見せてもらった」【コラム】
11月19日に引退を表明した大久保嘉人について、試合後の会見にて鬼木達監督に質問させてもらった。大久保は試合には出ていたが、試合とは無関係の質問内容だったため断られても不思議ではないのだが、鬼木監督は真摯な回答を寄せてくれた。
大久保からは引退を表明した当日の朝一番に電話が掛かってきたのだという。
「まずは、律儀な男なので。昨日ですかね。朝一番でね、電話をもらって。引退しますと。お世話になりましたと、いうことをね、あのもらいました」
ちょうどこのタイミングで元川悦子さんのインタビュー記事が出ていたこともあり「違う記事でね、まだまだやりそうかなという思いも、あの読んでいたので。そういう意味でびっくりしました」と話す鬼木監督だったが、その一方で、電話が掛かってきた瞬間に悪い直感が働いたのだともいう。
「電話が掛かってきた瞬間、嫌な予感というか。そういう思いもちょっとあったりとかして」
ちなみに大久保には「本当にまずはね、お疲れ様でした」と伝え「ルヴァンカップの決勝とか。惜しいシーンもありましたけども。やっぱりああいうのがヨシトだよねという話なんかはさせてもらいました」と振り返ってくれた。
このフロンターレ戦でもそうだったが、大久保は常にポジションを変え続け、ワンチャンスを狙い続けていた。そうやって準備を続けられるということについて「みんなが止まってる時に一人だけ動いているとか、そういうものは本当にいろんな選手の参考になると思うので。それを引退のところまでやり続けられたことはすばらしいと思います」と称賛していた。
ただ、大久保の決断について鬼木監督は「まだまだできると思いますけど」と惜しみつつ「そういう自分で決断して辞める。そういうものもすごく尊重したいなと思いますね」と話していた。
なお、鬼木監督は大久保との出会いについて「彼のような選手と出会えたことは、指導者の自分にとっても本当にプラスになることが多い」のだと発言。「どういう選手が、ああいう選手になっていくのかとか。そういうものを見せてもらった」としていた。
3年連続得点王という記録はまさに金字塔で、不世出の天才との修辞がピッタリの選手だが、その選手に匹敵するような選手を育てたいと考えているところに鬼木監督らしさを感じた。
(取材・文・写真/江藤高志)