「川崎フットボールアディクト」

守田英正と田中碧の変わらない関係性【#オフログ】

26日の北朝鮮戦のキャンセルが正式に決定。この試合の取り扱いについてはFIFAからの決定を待つ状況が続いているが、その北朝鮮に国立競技場にて勝利した21日の試合後に、守田英正に取材できた。

ボランチでコンビを組んでいた田中碧をある程度自由に動かしてピッチ上を広く動かす一方、守田自身はバランスを取ってリスク管理。そんな試合について守田は「様子を見ながら、どういう守備をしてくるかを見ながら待っている感じでした。僕が6番ぽく後ろに構えて、余裕があればアオ(田中碧)を押し上げて、前に前にっていう感じだったんですけど」と説明。ある意味守田の献身があっての田中碧の決勝点だとも言えた。

そんな二人の関係性を念頭に、田中碧の決定力について守田に聞いてみた。

「いやいや、あれはたまたま、あそこにこぼれてきただけで。僕でも決めれますよ(笑)」

驚くほど俊敏に反応した守田のこの言葉を聞きながら「これはフロンターレ時代の二人を知らない人が聞いたら誤解される一言だな」と苦笑いしつつ、フロンターレ時代を共に過ごした二人だからこその冗談だとも理解できた。そして、この守田の言葉を聞いて逆に田中碧の守田に対するコメントが頭に浮かんだ。

取材ノートを振り返ると2020年11月12日の鹿島戦前の取材時の言葉だった。

「僕が入った時だけ、やたら(守田が)上がって行くんですよね(笑)。別に良いんですけど、全然いいけど(笑)。まあね、ちょっと貪欲になんかちょっと狙い始めてるなーっていうのは、横から見てて感じるんで。まぁそこは自分がカバーすればいいんだけど。まぁほどほどにしていただきたいですね(笑)」

そう冗談を飛ばす田中碧の言葉から当時から守田との関係性は良好で、更に言うとお互いに攻撃参加については話し合っていたことが透けて見えていた。

当時はアンカーの守田が背後に控え、インサイドハーフの田中碧が攻撃に出て行く形が基本形だった。ただ、そうやって役割を固定してしまうと怖さが出せないため、二人で話し合い、状況に応じて守田が上がり、その場合は田中碧がカバーに入るという約束事が決められた。その結果、田中碧の想定以上に守田が攻撃参加する回数が増えてしまい、田中碧、内心苦笑い。そんな思いが言葉として出ているように当時、感じた。

だから、当時からお互いに攻撃参加については思うところがあり、守田にしてみれば攻撃回数が多い田中碧が決めて当然、くらいの思いがあったのだろう。ただ、それにしても決めるべきところで決めてきた田中碧の決定力は事実で、そんな田中碧について守田はリスペクトの思いを口にしている。

「でも、やっぱり出た試合で、目に見える結果を残すっていうのは選手としてすごく大事ですし。彼はW杯本戦でも決めてるので。そういう準備をしてるし、もちろん、運もありますけど、実力なのかなと思います」

ちなみにシュートチャンスを決めきれなかった守田は、そのことについて「やっぱり得点決められるチャンスは、僕の最初のシュート(前半12分)もそうですし。ああいったタイミングで決めきれないと、試合ってやっぱりどんどんどんどん難しくなって行くので。改めてアジアの難しさを今日、感じました」と反省していた。

なお、開始2分の先制点が試合を難しくさせたのではないかとの質問に対しては「いや、それはないと思います。決められるチャンスは全部決めた方がいいと思いますし、早い時間に点を取ったから難しくなったっていうのは、ないと思います。それは、そういう考え方はちょっと僕はしたくないというか。やっぱ、複数得点を取りに行けなかったことの振り返りをするべきだと思います」と述べていた。

ということで、複数得点へのこだわりを口にした守田の言葉を聞きつつ、フロンターレぽさを感じた試合後だった。

(取材・文/江藤高志)

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