「川崎フットボールアディクト」

【J1 1st. 第5節 川崎vs浦和 両監督会見】「1-0の状態の試合運び、あるいはそれを決めてしまう試合運びを学んでいく大きなチャンス」(風間監督)/「等々力での過去のゲームよりも今日はかなりいいゲームができたんじゃないかと思います」(ペトロヴィッチ監督)

両監督会見です。

▼風間八宏監督
「小学校以来、廊下にこれだけ長い時間、立っていて(会場笑)、何を言っていいか忘れてしまいましたが(会場笑)、トークショーでもしてるのかなと思いながら中を想像していました(ペトロヴィッチ監督の会見が長時間に及んだことをこうして表現)。
今日の試合を一言で言うと、残念な試合。それから我々に次の力を与えてくれる試合。それは何かというと、試合運び。ここのところをもっともっとみんなで、特にポイントですよね。今日は1-0の状態でしっかり自分たちが2点目を決める所。その前のところで比較的、雑なプレーが出てしまった。数的優位でもあるいは数的同数でも十分に崩せるんですが、無理な事をしてそれを失ったこと。これをしっかりこれからやっていかなければならないと思います。
それから、もうひとつは後ろで急がずに十分、うちの選手であれば回せる時間があると思うので、そこのところの判断。1-0の状態の試合運び、あるいはそれを決めてしまう試合運びを学んでいく大きなチャンスだと思うので、そういう意味では収穫があった。それから内容としては大きな問題はないと思います。以上です」

――前半に比べると、後半のほうがチャンスが少なかったのは明らかだと思うのですが、雑だったとか、試合運びだとかの以前にチーム全体に守ろうという意識があったのでしょうか?
「いや、それはないです。それはないですが、逆に言うと引き寄せるということもあるので、カウンターを十分に狙える。しかも実際にありましたので、そこのところは選手もみんなわかっていて、それほど、ただ引いたからと言ってもそれほど大きなピンチになったわけではないので、セットプレーは残念でしたが、そいう意味ではそこからのカウンター、それからそこでうまく運びたかったというのは我々の認識です」

――ミハイロ(ペトロヴィッチ監督)の今日のゲームの一番の骨子は、ああいう風にゲーム戦術を組んできたということ。あれは風間さんの予想を裏切ったのか。それともはじめからわかっていたのか。あれだけ注意深く立ち上がったというのは今までそれほど。サンフレッチェ時代には何度かあるんですが、それについてコメントいただけますか。
「予想通りと言えば予想通りです。まず、どっちでくるか。今のところで言うとほとんどのチームが我々に対してどうするのか。引いて守るのか、それから前から積極的に取りに行くのか。そういうものに対してどう対処するのかとやってましたので、そういう意味では今日は比較的前半は引いて守ってたので、ずっと、車屋が左からサイドから点を取るときに行きましたが、真ん中に集めればたくさん集まるので、そこを3辺の両辺から入って行けという話はしてましたけど、まあ、予想通りと言えば予想通りですし、その予想というか、その二つに対してどう反応するのかが我々の対応の仕方だと思うので、それはどんどん技術を上げること。あるいはさっき言った、戦術眼を上げることでで解決していきたいと思います」

――今、Jリーグの中でフロンターレが一番いいサッカーをやっていると思うんですね。これはあれだけ才能のある選手、憲剛と、大島、レナトに大久保。こんな才能ってほとんど居ない。こいつらがね、大久保を除いて、大久保は代表チームの可能性がなくなったから走れなくなったんだろうけど、それ以外はしっかり戦っていると思うんです。個人があれだけ能力があるやつらがしっかり走って、ハードワークを自分たちで探す。そういうのは高く評価していて、実は実は今日も私はサッカーでは、フロンターレのほうが上だったと思っている。それについてコメントを頂けませんか。
「選手がやはり勝つということに対してどう勝つのかということがすごくわかってきた。初めはみなさん、ずっと言われたとおり守備が弱いとか、どうだとか言われてましたが、実際にどのくらい自分たちが、スタイルというのはどのくらいの位置で、あるいは地域でサッカーを繰り広げることができるのかというところから初めていますので、今の現象はその中の切替であったり、あるいは逆サイドの戻りだったり。あるいは球際だったり。こういうものは選手たちがずっと合宿で言ってましたが、選手たち自身が自発的にどんどんやってきていることなので、それをゲームを中心にすごくいいまとまりを見せてくれていると思います」

▼ペトロヴィッチ監督
「みなさんご承知の通り、私自身この等々力では勝利したことがないと。まあ、私試合前に選手に言いましたが等々力スタジアム、リフォームして新しくなったと。この新しいスタジアムで我々の新しい歴史をスタートさせようと。そういう話を選手にしました。ここ、等々力での過去のゲームよりも今日はかなりいいゲームができたんじゃないかと思います。我々、これまでの戦い。相手を内容で上回りながら常に負けてきた。そういった過去の対戦がありました。やはり、川崎に対して我々はボールを持ち、主導権を握りながら攻撃を仕掛けていく。そして、4回5回と決定機を作りながら決めきれず、前がかりになったところをカウンターを打たれ、失点を重ねた。そういった戦いが過去の戦いであったと。相手を内容で上回りながら、そういった部分で我々は負けを重ねてきました。
そういう過去の試合の教訓から我々は前からプレッシャーに行くのではなく、しっかりとセンターくらいまで前の選手をリトリートさせて相手の攻撃というものをしっかりと待つ形でカウンターという狙いで試合に入りました。そういう狙いは前半、良い形で奪ってカウンターというシーンがあったと思います。もう少し奪ってからの精度が上がっていれば得点になった機会はあったと思います。
相手に対して我々前半、カウンターでやられるシーンは作らせなかったのですが、レナトだったり大久保だったり、そういった選手に対してスペースを与えずカウンターをさせない守備ができたいと思う。ただ、川崎の左サイドの20番の選手、非常に素晴らしい個人技を持っていて、彼のドリブルで我々の右サイドを突破され、先制点を許してしまった。
後半負けているということで、前半よりも前からプレッシャーに行かなければならない状況でした。よりアグレッシブにボールに行こうという話をしましたし、選手たち、アグレッシブな守備を後半もやってくれたと思います。
後半私自身、監督として驚いたのは、我々7週間で10試合目でしたが、後半相手を運動量で、アグレッシブさでうわまれていたのではないかと。非常に運動量を上げて、球際で戦って、相手に対してあまりチャンスらしいチャンスを与えられなかったのではないかと思います。試合は、以前であれば前掛かりになったところで速攻を食らって、という展開で失点する事がありましたが、そういう意味でもしっかりとゲームをコントロールしながらゲームを進められたと思いますし、選手たち、非常に強い気持ちをもって最後まで戦った、その結果が同点ゴールに結びついたと思います。
最終的に引き分けという結果は両チームにとって1ポイントということですが、ただ、試合全体を通してみれば我々のほうが少し相手よりは3ポイントに近かったかなというそういう印象を持ったゲームでした。
昨シーズンは我々、いろいろな問題があって日本で初めて無観客試合というものもありましたし、あるいはその後いろいろな問題がありました。ただ、そういった問題があった中で、今シーズン特に山形、松本、そしてこの前の北京。非常に我々のサポーターの後押しを感じます。素晴らしい雰囲気を作り、そしてチームを後押ししてくれる。それは私が非常に感じていますし、彼らがチームの戦いというものを非常に理解し、そして我々が向かっている方向性を後押ししてくれていると私自身も理解しています。今日のゲームも選手たちが最後まで諦めずに戦い、そういった選手たちを最後まで後押ししてくれた。そういうサポーターに対して私自身大きな感謝の気持ちを述べたいと思います。ありがとうございます。アリガトウ」

――球際の強さがシーズンに入って進歩しているように思いますが、それはACLの影響はありますか?
「球際の強さというものに関しては、私が浦和の監督になってから、すでに4シーズン目と。私が監督に就任した当初から球際に関しては、常に言ってきました。サッカーと言うのは今日明日でなかなかそういったものを改善するものではない。球際、強く行けと選手に言ったとしても、今日言って、明日すぐに良くなるわけではない。やはりそういった、積み重ね、日々の積み重ねが球際の強さにあらわれていると思います。私はヨーロッパでも仕事をしてきましたが、球際の激しさはどうするのかは私自身が分かっている。それを私は日本人の選手は十分にヨーロッパの選手と同じくらいに球際を強く行けると私は思っています。そういった、私からの選手への球際の強さの要求は日々の練習の中で培ってきたものであると。やはりそれが目に見える形になって、今、現れているのかなと思います。
メディアで最近、日本人の選手はフィジカルの部分で劣っているだとか、あるいは球際のところで相手との競り合いであまり行けていないと。そういったことがメディアに出ていますが、ただ、日本の代表チームを見ると、ヨーロッパでプレーしている選手が非常に多いですよね。そういったこと、というのは日本人全体で言えることなのか、そうでないのかというのはやはり、しっかり見極めて判断したほうがいいのかなと思います。
やはりヨーロッパでプレーしている選手、ドルトムントだったりサウサンプトンだったり、インテルだったりミランだったり。ドイツでプレーしている選手も多いですが、その選手たちが例えば球際強いのか、弱いのか。そういったところはしっかり見られたほうがいいかなと思います。そういった選手たちは向こうでプレーして代表に入ってきて、その選手たちが球際が強いのか、弱いのか。あるいはそれは日本のチームでプレーしている選手だけなのか。その辺はしっかり見て判断されたほうがいいのかなと思います。
例えば日本代表のチームが、球際で強くいけないとか、あるいはフィジカル的に相手に劣る。そうなった場合にそれは例えば日本のチームでプレーする選手、そうであれば日本で指導する監督さんの問題になる。普段そう指導されていないから。やはり協会に関しては、日本代表がそれはうまくいかないことは誰かのせいなのかどうかは、また非常にみなさんも一つ考える要素として、持たれたほうがいいのかなと思います。
自分のチームの話ですが、私は選手に対してしっかりと責任を持ってそういった部分でもアプローチしています。
メディアの紙上で色々と出ていることというのは、間接的に何を言われているのかは私自身深く読み取ってみています。
私、広島を率いてた時にトルコに毎年キャンプに行っていましたが、ポーランドのチームとかノルウェーのチームとか、2mくらいあるような選手が居るチームと戦っていました。日本人の選手、何も問題なくそういった選手に対して球際で戦っていましたし、それで勝てていたところもあります。そういう部分は日々の積み重ねの中で培っていけるものだと思いますし、やっていけば日本人の選手も非常にそういう部分も強くなっていけると思います。
私、10シーズン目ですが、日本のサッカーに携わって長いですが、やはりより日本が強くなるために少しでも私自身も一クラブの監督として頑張って行きたいなと思います。
日本のサッカーの中で少し、私が気になるのが、監督、あるいはアシスタントコーチ。あるいはクラブの中の例えば、監督、コーチの人事もそうですが、大学の同期が一緒だとか、コーチングスクールが一緒だとか、そういったもので採用され勝ちかなと思います。私自身も監督を長くやっていますが、私の国からアシスタントにつけてくれという人は、非常に多いです。日々そういった連絡はある。ただサッカーはフレンドリーショップでは残念ながら仕事はできない。仕事はできない職業である。そういう人たちに対して違う形ではサポートできますが、そういったサポートというのは、できない。サッカーというのはスペシャルなジョブで、だからこそ、人間関係、誰かが誰かと仲がいい。大学の先輩後輩。そういうものだけで、仕事というものを一緒にしてしまうと、それがなかなかいい形では現れない。日本の問題は、そういうところがサッカー界にあるのかなと思います。
どこかの監督になれば多くあるのは自分の周りに自分の居心地のいい人を付けるというのは非常に多いと思いますが、ただそれだけではやはり組織としてうまくいかないのかなと思います。
今日の試合とはあまり関係ない話ですが、ただ、ここに居るメディアの方というのは非常に日本のサッカーの事を考えて、書いてくれている方だと思うので、一つ、考える余地のあることとして一つ頭の片隅に残してもらえればと思います。
ソーリー(長くてごめんなさいという意味か)。もう誰も聞きたくないですね、終わりにします」

――エンドを選んだのは浦和だと思いますが、それは例えば後半背中から声を受けることで後押ししてもらいたかったということがあったのでしょうか?
「最終的にはそう思われるのかもしれませんが、ただ私自身が選手に支持したわけではないので。阿部選手がやはりそれを選んだということです。
ただ、後ろだけでなく、等々力には真ん中の方にもたくさんの浦和のサポーターが居ましたね。もちろん、真ん中にはゴールはないので、後ろからの声援にはなりましたが」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ