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吉田達磨監督「意図してサッカーができるようになっている感覚を忘れずに、次に行ければ――勝点3は欲しかったが――この勝点1を無駄にしないで次に行けると思う」【無料記事 J1第22節 吉田達磨監督 記者会見】

【J1第22節 吉田達磨監督 記者会見】

「意図してサッカーができるようになっている感覚を忘れずに、次に行ければ――勝点3は欲しかったが――この勝点1を無駄にしないで次に行けると思う」

順位が一つ違って得失点差しか違いがなくて、残留に向けて3ポイント取ってライバルを引き離すチャンスがあるという意味のある試合でした。まず北海道の札幌ドームに僕は初めて来ましたが、この雰囲気、熱気、サッカーを盛り上げていく環境でゲームができて、我々ヴァンフォーレのサポーターは300人弱来ていただいて、その声が響く中で試合ができたことは、野球のスタジアムかもしれませんがサッカー人として幸せだと思いました。立ち上がり、左サイドの後ろに蹴られたときの対応があやふやなところがあって、立ち上がりに一つ危ないシーンがあって、その次に失点しました。

独特の芝生(25ミリ、山梨中銀スタジアムの約2倍の長さの芝)でボールが止まる。失点の場面はスローインからだったが、その瞬間少し集中が削がれてしまった。僕の責任でもあるが、(外に出たボールを拾って)僕が渡しましたが、違うところのボールからスタートしてしまった。選手は僕が取ったボールを見ていたと思いますし、違う位置から再開されたことで一瞬裏のボールへの対応が遅れた。それは確かなこと。アウト・オブ・プレーからインプレーに入れ替わる瞬間はどんな試合でも、どんなカテゴリーでも気をつけないといけないこと。残り試合を戦う上で大きな反省材料だと思います。前回の浦和戦も前半に失点して、後半に攻めたがこの試合に関していうと、慌てて攻めることはほぼ無くなっていて、落ち着きを持ってプレーしていこうということ。

札幌も僕らが出てくる、その弾き返したカウンターは狙いだったでしょうし、この暑さの中、連戦の中でなかなか中盤でボールを追いかけ回せないことはお互いにあったかなぁと思います。やる前から恐らくそういう展開になることは分かっている中で、苦しいボールを追いかけ回す、それで苦しむことはお互いに前半からしてなかったと思います。前半、僕たちの攻撃は残り10分を切るまでは裏に入って行く鋭さも予測もなくて、前にボールを配給できる選手から背後を狙うアグレッシブさが最後の10分を切るまで欠けていて、それを取り戻してハーフタイムに戻ってこられたこと、今日のポイントだったと思います。

後半、裏に出て行く動きが多少出ていてそこからの質は…いつもこんな話しかできませんが、高めて行くしかなくて、起点を作るだけじゃなくて、クロスを放り込んで、後半途中で何本かクロスが弾き返されるシーンがあったが、もう少し工夫をして裏を取ったり、取る振りをしたり、そういう工夫は前半の最後から後半の中盤に表れてきた。それはこの前の試合、G大阪戦、浦和戦とやってきたなかで諦めずに粘り強く戦うことで中を破れるんじゃないかという手応えを選手が持っていたからだと思う。

次の試合に向けて勇気を出して最後ラインを破りに行く。クロスを上げると上げた選手はその責任から一瞬解放されますけれど、結局は相手の壁の中にボールを放り込んでいくだけで、その質、そこからもう一つなかったアイディアを繰り出していけるように、そのきっかけを掴んだここ一週間でしたからイメージを高めてやっていきたい。

今日の試合を振り返るといっても、いくつかのアウト・オブ・プレーからインプレーになる…それを振り返って反省して次の試合…バスに乗って空港に着くまで今日の試合の映像は見せますが、そのあとは次の広島戦に向けてスタートを切るだけ。一瞬を逃してくれないチームですから、広島は。残留争いを戦っていく相手、敵地で勝点3を取れるような戦いをしたい。今日は勝点3を狙いに来たが、最終的には相手に勝点を与えない強かさを持って次の試合に向かいたい。

――準備期間が限られる中で今日のメンバーのどんなところを引き出したいと考え、送り出しましたか?

疲労感もあって、連戦の中でウチの選手のレベルの差というか、チームで突出しているとか、誰かがレベルに達していないということはなくて、試合に出たいとか、メンタル的な準備を含めて札幌という相手…ジェイが先発で来ることを予想していて、それでも新井涼平、エデル・リマ、新里亮の3枚で行くことは決めていて、あとはボランチの組み合わせです。島川俊郎と小椋祥平、島川と兵働昭弘などいくつかのセットがあったが…カウンターの展開が増えるかもしれない試合ということ…。

連戦で暑さもあって、札幌がジェイで来ることで僕らはいつもよりボールをボランチから前に展開する時間、左右に振らないといけない時間があるんじゃないかというところで、兵働をチョイスした。兵働はチームのために何かをやりたいという気持ちが溢れているので選択した。松橋優は出ずっぱりで疲れていて、橋爪勇樹のダイナミックさや裏を取ってほしいというのがあって…堀米勇輝との相性もありますし…堀米は風邪で休んでいましたが、治って彼も同じように試合に出るということ…。この疲弊した中でドゥドゥの使い方も疲弊させるのではなく、ある程度堀米で少しジャブを打つというか、そういった中でドゥドゥを投入した。高野遼は少しハムストリングをケガしたが、前回途中から出て…新しいチームに来てプロフェッショナルの風を吹かしてくれてそのまま高野でいこうと。

――課題はあると思うが、試合内容を見るとボール保持の質を含めて後半圧倒した中での勝点1は物足りないということになりませんか?

勝点3を取りたいですが、ゴール前の落ち着き、クオリティとか、誰がシュートを打つべきとか、自分よりチャンスがある選手がいるということを選択できるかどうか。僕らに突き付けられている課題で、そこが上手くいけば今の順位にはいないというのはあるけれど、先に失点していい形じゃなかった。「気をつけよう」と散々確認して、どこのチームもボールが少し止まるというか、失速したところで札幌の選手が走り続けてトンと入れるシーンは開幕当初から何度も見ているので選手に映像を見せながら確認していることで、「これはやめようぜ」といっていた失点は痛いのでガクッと来るので、そこから考えると引き分けまで持ってこられたという見方もできる。

勝点3も欲しかったけれど、失点した原因を考えると…勝点3を取るべく攻めましたけれど仕方がないというか追いついた勝点1を大事にしないといけないし、次に向けてプレーできるようになってきている。意図してサッカーができるようになっている感覚を忘れずに、次に行ければ――勝点3は欲しかったが――この勝点1を無駄にしないで次に行けると思う。

――阿部翔平の同点ゴールの評価は?

どんな時間帯、どんなタイミング、どんなシチュエーションで試合に出ても一定の仕事を必ずやる選手。今日は疲労感含め、新しい風ということを含め、高野で…マセードとのマッチアップになるので、
そこでスピード感、裏を取ること、1対1で遅攻を仕掛けることで、高野でもしかしたら分があるんじゃないかということで…。阿部が控えているということ自体が彼の存在感・実力であって、途中から出ても彼がすべき仕事はほぼ全てやっていますから。同点ゴールを決めて、(チームには)クロスからのシュートのシーンもあったので技術の高さ、安定感、高野と違ったよさ、途中から出ても精神的にブレず、ベンチスタートの役割を全うしてくれた。

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