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ストライカー待望。ミヒャエル・スキッベはジュニオール・サントスの成長を期待する

あとは決めるだけ。

チャンスをつくっているのにゴールできない現象について。よくこういう言葉で表現しがちである。

だが、サッカーにおいて最も難しいのは、やはりゴールだ。つまり「決めるだけ」が最も難しいのだ。

では、どうして難しいのか。サッカーが得点を競い合うスポーツだから、という結論がシンプルではあるが、正しいような気がする。

さらに言えば、ゴール前には唯一手を使えるGKが存在していること。多くの場合が数的不利な状況であること。ゴールを決めることが楽しいのではなく重圧を感じがちなこと。いい場所にトラップする余裕がない場合が多く、時間も与えられないケースも少なくないこと。「決めるだけ」が無人のゴールに対してということなら難しくはないが、そういう場合は稀であること。

様々な要素からゴールを決めることは難しい。だからこそ、どんなリーグであってもストライカーは最も多額の給料を手にすることになる。得点をとることができるかできないか、それでチームの浮沈が大きく変わっていくからだ。

今の広島にとって《ストライカー》が最も不足しているプレーヤーであることは、言わずもがなの事実だ。今も強化部は外国人FWの獲得について模索を続けているが、移籍期間が終了した今はフリーになっている選手だけが対象であり、選択肢は限られる。

当面は現有戦力のままで戦うことになるわけだが、広島のストライカーたちはどうもケガがちだ。ドウグラス・ヴィエイラ、永井龍、鮎川峻。それぞれ特長を持った選手たちだが、稼働率に課題を残している。ドウグラス・ヴィエイラは復帰を果たしたが、永井と鮎川は現時点でチームに合流できていない。週末の徳島戦に向けての戦力化は厳しい状況だ。

佐藤寿人以降、広島はずっと「エースストライカー」不在に悩まされてきた。浅野拓磨やピーター・ウタカ、レアンドロ・ペライラら、可能性のあった選手たちはいずれも、エースに手が届きそうな状態でチームを去った。2018年の主役となったパトリックはレアンドロ・ペライラからポジションを奪えず、G大阪へと戻っていった。アンデルソン・ロペスは2017年に二桁ゴールをあげているが、チームを勝利に導くゴールを記録したのは1試合だけ。巡り合わせの悪さが目立ち、シーズン終了後には移籍してしまった。

2022年4月現在、エースの座は不在のままだ。それでもミヒャエル・スキッベ監督の指導が奏功し、サイドからの攻撃から点が入るようにはなっている。森島司が公式戦4得点を奪い、満田誠も公式戦3得点。彼らの得点力はシーズン当初には想定していなかったと言える。だが一方で、FWの得点は公式戦で4得点に止まり、リーグ戦では鮎川の1得点だけ。この状態で5連戦を4勝1分、8得点を記録できたのは僥倖と言ってもいい。

ただ、安定してチャンスをゴールに繋げるには、やはりストライカーが必要だ。

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