「川崎フットボールアディクト」

攻守一体のサッカーで後半7得点。横浜FCユースに勝利/プレミア2022EAST 第9節 vs横浜FCユース【#オフログ】


■難しかった前半

プレミア2022EAST 第9節の横浜FCユース戦は、結果だけを見れば8−0の大差が付いたが前半だけを見れば簡単な試合ではなかった。

ある程度ボールを握らせてはくれていたが、思うように前に運べていないような印象を受けた。そんな前半の戦いについて#3松長根悠仁は「相手も結構対策してきて、自分たち、ボールを持った時になかなか前に運べない展開が多かったんですけど」としながらも、「相手の顔を見たら結構きつそうだったので。後半行けるかなと思ってやってました」と冷静だった。

一方、ボランチの#10大関友翔は事前に相手の出方を把握した上で、試合を進めることができていたと話す。

「相手がビルドアップしてくるっていうのは分かっていたので。そこで、ヤスさん(長橋康弘監督)からも、取ってからショートカウンターというとこは全員で、共通認識を持ててたと思います」

そんな展開の前半終了間際の43分。#20岡崎寅太郎が、ボックスの角で受けたラストパスをゴールに流し込んで先制点を奪う。川崎U18にとっては後半に向けては待望の先制点であり、横浜FCユースにとっては悪夢以外の何物でもない、失点だったものと思われる。というのも、松長根が言うように、横浜FCユースがパワーを出し切って前半を戦っており、彼らの狙いは0−0のまま前半を終わらせるところにあったはずだからだ。

この先制点については大関が「前半ちょっと苦しかったですけど。トラ(岡崎寅太郎)が狙い通りのショートカウンターを決めてくれたので。後半いい形で入れて、ポンポンと点決まって良かったなと思います」と振り返るが、まさに後半の試合展開を念頭に両チームにとって意味のある先制点になっていた。

ちなみに先制点を決めた岡崎寅太郎は得意な形だったのだという。

「自分はあの位置で受けて、ファーに流すっていうシュートが結構得意で、好きなんですけど、普段から練習していて。右のミッドフィルダーの尾川(丈)くんとか、そういう選手と一緒に、シュート練の時には、あのコースから打っているので、自信を持って振ることができました」

#9五木田季晋からのパスは、「完璧に、ワンタッチツータッチ目でシュート打てる体勢になるパス」だったとのことで、精度の高いプレーが連続した先制点となった。

■攻守一体

1−0で折り返した後半開始早々の47分に#25志村海里が追加点を決めて横浜FCユースを突き放す。あれだけ苦労した前半が嘘のような追加点となった。

「やっぱり早い時間で、5分以内で入ったと思いますけど(開始2分)、やっぱり2点目が欲しかった時間帯で後半入ってすぐ取れたので。持って行き方としても良かったなと思います」とこの得点について振り返る大関は、その後、大量得点が決まる試合展開についていい守備があったからだと指摘。チーム全体の意識の高さを示していた。

「流れの中のゴールカバーだったり(後半75分の松長根のカバーなど)、自分たちが失点しなかったっていうところで、相手も1点でも取られてたらもっと勢いを持ってきたと思うので。そこら辺は自分たちで守備を締められてたのは良かったなと思います」

大関が指摘するのはすなわち攻守一体の考え方ということで、それは長橋康弘監督のコメントからも伺える基本理念でもある。それは、いい守備をした選手への声がけについて質問した際に、長橋監督の答えからわかる。

「攻撃の部分と守備の部分を分けてトレーニングするってことはあまりなくてですね。やっぱり攻撃が良くしたければ、やっぱり守備もやらなきゃいけなくて。その辺はとにかく意識して、私たちは攻撃だけじゃないということは、普段からトレーニングでは言ってるんですけども。その辺のところも、しっかりと選手たち自身が会話を重ねてトレーニングを積んでくれています」

ちなみに攻守一体でサッカーを見る姿勢はトップの鬼木達監督も同じで、クラブ全体の基本的な考え方なのであろう。

■終盤に畳み掛ける

よく2−0は危険なスコアと言われるが、そういう意味で65分の松長根の3点目で試合は事実上決着。その3分後にはCKから五木田が追加点を決めた。

気持ちと体力が切れた感のある横浜FCユースではあったが、時折狙う攻撃は紙一重でゴールを脅かしていた。ただ前述のとおり、75分の松長根のアクロバティックなカバーなどもあって失点は許さず。

対するフロンターレは、79分に#5浅岡飛夢が追加点を決めると、85分には#17尾川丈が6点目。89分には#41香取武、90+5分には再び尾川が決めて、8−0で横浜FCユースを圧倒した。

なお、代表帰りの疲れはもあるのかミスが散見された#4高井幸大は「代表は言い訳にならない」のだとして「今日みたいにミスした後の、自分の心の持ちようだったり。ミスしないことが一番ですけど、ディフェンダーはミスしたり、失点に絡むこともあるので。そこからの立て直しってのは、試合の中で、その時が来たら、今日のようにならないようにしていきたいです」と表情を引き締めていた。

代表の海外遠征直後に高強度のプロの練習にまじり、週末だけユースの試合に参加している高井だが、しっかりとミスと向き合って次に顔を向けていて頼もしかった。


さて、次節はFC東京U18とのアウェイでの対戦だ。トップと同様選手たちは気持ちがこもる一戦で、油断はなさそう。しっかりと結果を残してもらいたいところだ。

(取材・文・写真/江藤高志)

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