「川崎フットボールアディクト」

【Blue Note kawasaki】vol.4 埼スタでの涙(大塚いちお)

大塚いちおさんのBlue Note kawasaki vol.4は、2017年のルヴァンカップ決勝を前にした決意表明という内容になりました。にじみ出るフロンターレへの想いが伝わるコラムです。

舞台は埼スタ。そこで涙したことが2度ある。
1度目は2013年、当時のナビスコカップ準決勝の2ndレグ。ゴール裏の最上部付近で、僕はその試合を観ていた。初戦のリードもあり、引き分けでも決勝進出だった試合。だが、そこで観るチームは、まるで別の生き物になってしまったかのように、いつもの躍動感を失っていた。緊張からくる硬さだったのか、必要以上の気負いだったのか…。それでも、何かをきっかけにチームのスイッチが切り替わるのだと信じていた。だが、後半に入っても、いつものチームに戻ることはなかった。
試合の終了と同時に、その前のホームの試合で追加点を逃し、地面を叩きつけて悔しがった中村憲剛の姿がうかんだ。「たられば」が意味を持たないサッカーなのに、つい、あの時のあの点が入っていたらと何度も思った。そして、こんなこともあるのだと、サッカーの怖さを見せつけられた気がした。

(残り 1455文字/全文: 1927文字)

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