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【WEリーグ/広島 2-0 C大阪】ピッチの女王・柳瀬楓菜、苦悩からの爆発

「柳瀬楓菜」が、久しぶりに、そこにいた。

ボールがあるところに必ず、23番あり。相手がボールを持っていれば身体を密着させて奪いきる。味方が握っていればパスコースをつくり、相手を遮って味方を助け、そしてスペースに飛び出す。

ああ、これこそ、柳瀬楓菜だ。スペシャルであり、唯一無二であり、そして最高のチームプレーヤー。だからこそ、彼女は21歳でキャプテンマークを巻き、中村伸監督から「ピッチの女王になれ」と期待を込められる。

柳瀬が輝けば、チームも輝く。当然だろう。彼女はチームを輝かせるために、自己の全てをレジーナのために注ぎ込んでいるのだから。無私の人なのだから。

「新スタジアムでの初得点、狙います」

リーグ中断中、彼女が言った言葉だ。それも我欲から来たものではない。チームの勝利のために必要ならば、ボランチの自分はゴールだって狙う。そんな決意表明だったのだ。

そういう人だからこそ、彼女は悩む。

チームが勝てない。プレーもうまくいかない。

どうすればいいんだろう。何をすればいいんだろう。

悩みは深く、解決策がみつからない。

それでも気持ちを奮い立たせてピッチに立った。3月16日のマイナビ仙台戦ではスタートからキャプテンマークを巻き、新スタジアム初勝利を全力で目指した。

だが、わずか2本のシュートに相手を抑えたにもかかわらず、その2本とも決められてしまった。チームは0-2から2-2までスコアを戻して勝点1をつかんだが、柳瀬の心は晴れない。

「今の自分がこのコンディションで試合に出ていいんだろうか。プレーするのは、自分じゃない方がいいんじゃないか。メンバーから外れた方がいいんじゃないか」

生粋のチームプレーヤーであるが故に、21歳は苦しんだ。

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