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名将論/ミハイロ・ペトロヴィッチと森保一(前編)

まぎれもなく、名将である。

ミハイロ・ペトロヴィッチと森保一。二人の指導者のことだ。

今季の二人は確かに結果を出せていない。しかし、だからといって、それまでの実績が全てゼロになってしまうはずもない。

森保一の実績は、もはや説明不要だろう。2012年・13年・15年、3度の優勝。こんな実績をあげている監督が、他にいるだろうか。いない。Jリーグで3度以上の優勝を果たしたチームは、鹿島・横浜FM・磐田・広島の4チームだけ。そのうち、同一監督での3度の優勝は、オズワルド・オリヴェイラ監督(鹿島)だけ。日本人監督は岡田武史(横浜FM)、桑原隆(磐田)がいる(桑原は監督代行時も含む)が、3度はいない。

Jリーグは、日本サッカー界最高峰のステージであり、そこでの優勝は(最低でも)1年間のチームマネジメントが発揮した成果。そこに導くことができる指揮官は、その成果をもって高く評価されるべきだ。簡単ではないのである。世界的な指導者であるイビツァ・オシムですら、リーグ優勝を果たすことはできなかったのだ。「当時の市原(現千葉)では、戦力的にも財政的にも、どうなのか」ともし言う人がいるとしたならば、森保一が率いたサンフレッチェ広島はどうだったか、ということだ。日本一の選手層だったのか、日本一のクオリティ集団だったのか。

森保一という男が成し遂げた「監督という仕事」としての素晴らしさはいくらでも羅列することはできるが、その詳細はまた別の機会に譲っておこう。ただ、「プロは結果だ」というのであれば(筆者はそう思っていない)、森保ほどのプロフェッショナルはいない。「オズの魔法使い」と呼ばれた名将・オリヴェイラと同じ実績をあげた監督に対しては、やはり「名将」の冠を贈呈するのがふさわしいと言いたいのだ。

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