森崎和幸物語 第9章
2009年7月7日、朝6時30分。吉田サッカー公園にはまだ、選手もスタッフも、その人影はなかった。ただ1人の男を除いては。
森崎和幸は、約2ヶ月ぶりに練習場のピッチに立った。数日前、ペトロヴィッチ監督に会った時、「カズの思い通りにやればいい」と言ってくれた。それが病に苦しみ抜き、チームに迷惑をかけた申し訳なさに押し潰されそうになった男の心を軽くしてくれた。
チームトレーニングに参加する前の段階として、まずは1人でやってみたい。そんな希望を指揮官に告げて了承を受けたカズは、ゆっくりとゆっくりと、芝を噛みしめるように、走った。
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