ニイガタフットボールプレス

☆無料☆「結果以外はすべてが良かった。そうとしか言えない」【頼もう!感想戦feat.成岡翔】~明治安田生命J1第20節・ヴィッセル神戸戦vol.1~

0-1で敗れはしましたが、見ごたえ十分だった神戸戦。「失点したことと無得点に終わったこと以外は、何も悪くなかった」と見る成岡翔さんは、だからこそチームがここからどう進んでいくのかに注目します。vol.1とvol.2を一挙にお届けする今回の感想戦。vol.1は無料でお読みいただけます!

■歯がゆさのあと、怖さが来る

――神戸戦の感想戦に行く前に、成岡さんが主宰するアパレルブランドのGFTBが今月で終了するというお知らせがありました。

「経緯について、先日インスタライブでお話しさせていただきました。現在は、これまでのアパレルから活動の範囲をさらに広げていくために、いったんリセットするという状況ですね。GTFBではなくなりますが、新たなことに挑戦しようと、いろいろ準備しているところです」

――新たなスタートラインに立つわけですね。

「アパレルをやりたい思いはあって。ただやり方をちょっと変える、と。まだ構想段階ですが、お店の一角をお借りして、アパレルにとどまらずいろいろプロデュースをすることも考えています。

2021年に本格的にスタートしたGTFBは、アパレルという切り口からサッカー界に貢献するコンセプトでこれまでやってきて、大変ありがたいことに多くの方にご好評をいただきました。この経験を生かして、また新しい形で展開していきたいですね」

――成岡さんがGTFBで表現してきた“大人なサッカー小僧の遊び心”はとても魅力的でしたし、今後が楽しみです! 

ということで、神戸戦に参りましょう。結果は0-1での敗戦。ですが、実に見ごたえのある試合でした。成岡さんは、どうご覧になりましたか?

「試合の結果以外は、すべてが良かったと思います。そうとしか言えないんじゃないかな」

――失点したことと、無得点に終わったこと以外は。

「そう。だけど、プロのチームとしては結果が一番、重要なところで。これはもちろんチームのみんなが強く感じていることだと思います。だからこそ、結果を含めて神戸戦を振り返ったとき、逆に僕は怖くなっちゃうんですよ」

――怖さがある。

「結果を求められる世界で、これだけ内容が良くて結果が出ない歯がゆさがまずあって、『じゃあ、これからどうやっていくの?』と考えたとき、怖くなってくる。新潟にとって神戸戦は、そんな試合でした。

今の新潟が立っているところは、ある意味で一番、難しいと思います。仮に自分が監督だったら、どうするか。それを考えちゃうんですよね。

もちろん、(松橋)力蔵さんはいろいろな考えを持っていて、その上で、チームを導いていかれるはずです。だけど、自分が新潟の監督だったら、ここからどうするべきか。すごく悩みます。

神戸戦に関して、細かく言えば課題や修正点はあります。失点しているし、無得点に終わっているわけですから。

だけど全体を見たら、悪いところはほぼない。しいて言うなら、失点するまでの最初の15分くらいまでの対応でしょうか。それが試合結果につながってしまったんですけど、それ以外は本当にすばらしかったです。自分たちのやりたいことがやれていて、『これ以上、何をすればいいの?』というくらい。だからこそ歯がゆいし、怖いんですね」

――内容は良いけれど、なかなか結果が出ない。難しい状況です。結果を出すために何か大きく変えるのか、それとも結果を出せるようになるまで続けるのか。今シーズンの分岐点かもしれません。

「どちらがいいのか、僕には正直、分かりません。得点を挙げて、最終的に勝ちにつなげるために、クオリティを上げる。そう言葉にするのは簡単です。当たり前の話だし」

――チームのクオリティを上げる方法の一つとして、時期的にも補強があります。ですが、成岡さんとしばしばそういう話になりますが、今のチームは本当に熟成されて出来上がっているから、バッと入ってすぐに活躍するのは、なかなか難しいと思うんです。それができるくらい破格の選手を連れてくれば、話は別ですが。しかもシーズンはすでに折り返しています。夏に加入してフル稼働するにしても、最大でプレーできるのは13試合ですからね。

「クラブの将来を考えれば、サッカーを絶対に変えちゃいけないと思うんですよ。その将来とは、アルビがJ1にい続けることは大前提です。その上で、チームの方向性は絶対に変えてほしくないんです。

なぜなら、見ていてやっぱりすばらしいサッカーですから。それも、J1でしっかり戦うチームになっている。対戦した相手チームの監督や選手の話を聞いても、新潟のサッカーが評価されていると伝わってきます。

ただプロである以上、勝って結果を残していかなければならない。現状、まずはしっかり残留というところから、少しでも上を目指していくことになるとは思います。そういう意味では、理想と現実の分かれ道にチームは立っています。だけど今の新潟の、ある意味出来上がったサッカーにパッと入って、すぐに点を取れる選手がどれだけいるのか。夏の補強はギャンブルとまではいかないにせよ、なかなか難しいところはあると思います」

(つづく)

【プロフィール】成岡翔(なるおか・しょう)/1984年5月31日生まれ、静岡県島田市出身。藤枝東高校から2003年、磐田に加入。11年に福岡に移籍し、13年、完全移籍で新潟に加入した。サイドハーフ、ボランチ、そしてFWでたぐいまれなサッカーセンスを発揮し、新潟で最初のシーズンは全34試合に先発出場。在籍した5シーズンでリーグ戦113試合に出場し、10得点を挙げ、17年にはJ1リーグ通算300試合出場を達成した。18年、J3のSC相模原に移籍。19年、J3の藤枝MYFCに加入し、11月5日に同年シーズンでの現役引退を発表した。現在はサッカースクールSKY(https://www.sky-soccer.net/)での指導が主になる。

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