☆☆☆無料記事☆☆☆「スタイルは輝いているか?」【マッチレビュー】~明治安田生命J1リーグ第8節vsコンサドーレ札幌~
5試合連続で許した失点場面は、これまでなかったような緩みを露呈して相手にスペースと時間を与え、反撃に出ても、いつものような分厚い攻めにつながらない――。連敗を2で止めた札幌戦ですが、新潟のスタイルを今一度、研ぎ澄ませる必要がありそうです。
明治安田J1リーグ第8節/アルビレックス新潟 1-1 コンサドーレ札幌
■2024年4月13日 14:03キックオフ@デンカビッグスワンスタジアム
■得点者/[新潟]秋山裕紀(80分)、[札幌]浅野雄也
■人数はいながら
連敗を2で食い止め、5試合ぶりの勝利をつかみたい新潟は、前節・C大阪戦から先発4人を変更。4-2-3-1で布陣した。前節・G大阪戦で今季初勝利を挙げた札幌は、先発2人が変更となり、3-4-2-1で布陣した。
勝利から遠ざかっている4試合は、いずれも先制されている新潟。今節こそ自分たちが先制ゴールを奪おうと、7分に小見洋太、10分に長谷川元希と、2試合ぶりに先発したアタッカーがクロスバーをたたく強烈なシュートを放つなど、試合開始から札幌ゴールに襲い掛かる。
だが先制したのはアウェイの札幌だった。16分、元新潟の鈴木武蔵が負傷交代するアクシデントに見舞われたが、20分、鈴木と交代して1トップに入った大森真吾の足もとへのパスをトーマス・デンがつぶしに行ったこぼれ球をゴール正面、ペナルティアーク手前で浅野雄也に左足で直接狙われる。GK小島亨介の反応も間に合わず、バーをたたいたシュートが勢いよくゴール内にはずんだ。
失点に至る流れは、新潟の右サイドからボールを運ばれたところから始まった。札幌の攻撃を減速させて、ゴール前に人数は足りていたはずだ。ところが瞬間的に足が止まり、大森にワンタッチで縦パスを入れた荒野琢馬、ゴールを決めた浅野を完全にフリーにしてしまったことが、実に悔やまれる。
先制された直後にも浅野に決定的なシュートを放たれる。だが、ここは小島が身を挺して食い止めた。
またもや先に失点した焦りもあったのか、新潟はいつものような攻守のコンパクトさが見られない。反撃に出まがら攻め切れず、札幌に中盤のスペースでやすやすとボールをつながれては、守備に戻ることを繰り返してしまう。相手陣内に押し込んで何度もゴールに向かう、分厚い攻撃は影を潜めてしまった。
さらに後半に入ると、新潟のビルドアップの“下げて展開”するリズムを札幌につかまれ、たびたびボールを奪われてはピンチを招いた。
75分、札幌の大森が2度目の警告を受けて退場となり、ピッチ内のパワーバランスが大きく変わった。5-3-1で構えて逃げ切りを図る札幌に対し、新潟は交代カードを切りながら攻撃を仕掛ける。すると80分、小見からのパスを受けた秋山が思い切りよく放ったロングシュートが相手に当たってコースが変わり、ゴールネットを揺さぶる。
新潟のJ1通算600ゴールで追いついたものの、逆転には至らず。1-1で引き分けた。スタイルを、もっとクリアに表現するために。研ぎ澄ませる模索が、今しばらく求められることになりそうだ。