ニイガタフットボールプレス

【Voice of the Pitch】~トーマス・デン インタビュー~vol.1「フォーカスするもの」

ローテーションは今季のチームの大きな特徴で、そこにはCBも含まれる。そのラストピースとしてシーズン終盤に登場すると、守備でも攻めの姿勢を貫くチームの戦いを大いにバージョンアップさせた。コンディションを整えるまでに時間を擁したからこそ、持てる力を思う存分、爆発させるつもりでいる。

■山形戦の何が難しかったのか

――いよいよJ1昇格が目前に迫ってきました。オフ明けの今日のトレーニングは、どのような雰囲気でしたか?

「とてもいい雰囲気でしたよ。あと1ポイント積み上げれば昇格が決まるということはありますが、これまで通りに一試合ずつ戦うスタンスを崩すことなく、今週末の仙台戦で勝ち点3を取ることにフォーカスできています。そして私たちは、残り3試合全勝してJ2優勝を決めるつもりでいます」

――トーマス選手は前節の山形戦(第39節△1-1)、メンバー外でした。試合当日は、どのように過ごしましたか?

「午前中はチームでトレーニングをして、午後、試合を見ました。とても難しい試合でしたね。新潟の強み、良さを思うように発揮できませんでした。そのあたりはオフ明けのミーティングでしっかり確認しています。次の仙台戦ではしっかり自分たちの強みを出していこうと話し合いました」

――山形戦でチームがなかなか強みを出せなかった理由は何だと感じましたか?

「私たちはプレッシングを強みとするチームで、攻撃的に戦うチームです。ところが山形戦ではディフェンシブなサッカーになってしまった。ハイラインで戦うことができず、全体的に下がってしまったことが難しくなった原因だと思います。それからボールを奪った後のトランジションで優位に立つことができず、選手同士の距離もいつもより遠くて、なかなかパスの出しどころを見つけられなかった。

いずれも今週のトレーニングで改善するポイントになります。集中して取り組むことによって、仙台戦では山形戦よりも高いラインを保ちながら試合を進めていきたいですね」

――あと少しで昇格できるということで、山形戦でのチームは少しナーバスになっていると感じましたか?

「そうは感じませんでしたね。試合は全体的に山形のゲームプランにはまっていたと思います。後半に関しては改善し、打開できた部分もありますが」

――それでも勝点1を積み上げたところにチームの力を感じます。

「その通りです。最終的に引き分けに持っていけたのはとてもポジティブなことだし、得点シーンは実にすばらしかった。ワンタッチプレーが連続して、(谷口)海斗のシュートも抜群でした。山形戦にはいい部分もたくさんあったんです。改善することと同時に、いい部分をさらに磨いて次の仙台戦に臨めればと思っています」

――山形戦当日、トーマス選手は居残りでトレーニングをしたわけですが、今季のチームが昇格争い、さらに優勝争いを繰り広げている理由の一つが、メンバー外のトレーニングの質の高さにあるのではないでしょうか?

「間違いないです。試合に出られないメンバーも持っているものの200パーセント出すつもりでトレーニングできていますし、向上しようという意識がみんなとても高い。それがとてもいい雰囲気につながって、チームの力になっています」

――松橋力蔵監督のさい配で特徴的なのは、チームをローテーションさせながら戦っていくことです。センターバック(CB)もローテーションさせますが、トーマス選手はどのように受け止めていますか?

「ローテーションはシーズンを通してうまくいっていますよね。なぜなら選手間に大きな力の差がないですから。誰が出ても、いい戦いができています。そしてローテーションすることで、選手は疲労を溜め込みすぎることなく、いい状態で次の出番に備えられます。ローテーションは、チームの強みの一つです」

(つづく)

【プロフィール】
Thomas Jok Deng / 1997年3月20日生まれ、ケニア / オーストラリア出身。182㎝、73㎏。DF。背番号3。スピードとジャンプ力、しなやかな身のこなしを生かしてボールを奪い去り、積極的に攻撃にも関わっていくCB。メルボルンビクトリー(オーストラリア)、PSVⅡ(オランダ)、メルボルンビクトリー(オーストラリア)から2020年、浦和レッズに加入。22年、アルビレックス新潟に完全移籍で加入した。ナイロビ(ケニア)で南スーダン出身の両親の間に生まれ、6歳でオーストラリアに移住、本格的にサッカーを始める。年代別のオーストラリア代表に選出され続け、昨年はU-24 代表キャプテンとして東京オリンピックに出場した。今年9月の親善試合で4年ぶりにA代表に選出され、11月のワールドカップ出場も期待される。

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