上書きされた記憶。示した勝負強さ/J1 第30節 vs福岡【レポート】
J1 第30節
10月20日(金)(19:03KICKOFF/等々力/19,026人)
川崎 4 – 2 福岡
■小林らしさ
DAZNにアクセスし、川崎フロンターレの個別ページを開くと出てくるトップ画像がある。気合いの入った小林悠と、その小林に笑顔で抱きつく大島僚太。この写真を見て多くの人が思い浮かべるのが5月3日のアウェイの京都戦であろう。0−0で推移した後半90+4分に大島からのクロスを小林が頭で合わせ、勝利した一戦だ。
いつ、この試合の記憶を上書きしてくれるのだろうかと、そんなことを思っていた。小林自身、体は動いており、先日行われたFCマルヤス岡崎との練習試合でもPKを含む2ゴール。出場すれば結果を出せる自信はあると、常々口にしていた。
そんな男だったからこそ、あのゴールには痺れた。
後半84分の起死回生の一発だった。
ロングパスを通した山村和也は、その理由を小林からの要求だとしている。
「悠さんから、ピッチに入った時に、裏を見といてということを言われていたので」
そう話す山村を小林は見ていた。山村が大南拓磨からボールを引き受けたとき、山村は小林と「目も合ったので」と話す。
スルスルっと裏へのランニングを開始する小林の動き出しに合わせるように、山村がキックモーションに入りフィード。
「悠さんだったら、このタイミングで抜けてくれるかなと思って。蹴ってみたらいい感じで繋がったので、良かったと思います」
そう話す山村からのパスは、ここしかないという絶妙な位置に飛ぶ。これを小林はピッチに落とさずにコントロール。追走してきた宮大樹を置き去りにしつつ、2タッチ目でシュートにまで持ち込んでゴールを奪った。
「トラップで相手の前にうまく落とせれば入れ替われると思いましたし、本当に完璧なトラップだったと思います」
シュートありきの小林は、受け身も取れずに転倒して後頭部を打ち付けているようにも見えるが、それが、枠に飛ばすことだけを意識したシュートだったことを示していた。これぞ、小林というゴールだった。
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