「川崎フットボールアディクト」

重圧の中のPK弾で辛勝。最終節に望みをつなぐ/J1 第33節 vs神戸【レポート】

J1 第33節
10月29日(土)(15:04KICKOFF/等々力/22,110人)
川崎 2 – 1 神戸

■決勝PK

プロデビュー戦のGK坪井湧也に触られて、体がこわばった。そして、その直後にゴールネットが揺れて安堵した。勇敢なキッカーに視線を転じると、地面にひれ伏して、喜びを爆発させていた。家長昭博が背負っていた大きな重圧を思った。

その家長は、個人的にハーフタイムに横浜FMの途中経過を知っていたとのこと。勝たなければならないことを家長はわかっていた。だから試合直後のフラッシュインタビューで口にした「蹴りたくなかった」との発言は、わりと本音だったのだろう。

決まって当然のPKだからこその怖さは、甲府と広島の天皇杯決勝で見せつけられたばかり。だからか、大島僚太は「毎試合、毎回毎回どのPKもすごいなと。それだけのプレッシャー背負ってすごいなとは思ってます」と家長をリスペクトしつつ「外しても僕たち頑張ろうっていうくらいの感覚では見ているので」と述べていて印象に残った。

その大島と同じような文脈のコメントを車屋紳太郎が残していて、こちらも印象的だった。

「まあ、決めてくれるだろうと安心しては見てました」と話しつつ、坪井に触られた瞬間を認識した上で「止められても、まだまだチャンスがありましたし」と、仮に止められたとしてもすぐに切り替えて得点を狙いに行く姿勢を口にしている。

ちなみに勝ち越しのこのPKが決まったのが84分のこと。つまり試合の残り時間は6分とアディショナルタイム。後半に態勢を入り立て直していた神戸の攻勢と、74分にピッチに入っていたアンドレス・イニエスタの技術とを考えると、2失点目すら覚悟する必要がある展開でもあった。ノープレッシャーの神戸に対しての得点は難しいタスクだった。そうした状況にあってもなお、PKを蹴る選手へのリスペクトや、外れたらそれはその時だ、と割り切る言葉を聞いて、チームが団結する様子が伝わってきた。

だからこその、強さなのだろう。

■先制点は奪えど

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