追いすがる鹿島。振りほどくフロンターレ。後半ATに見せた勝負強さ/J1 第17節 vs鹿島【レポート】
J1 第17節
5月30日(日)(19:01KICKOFF/等々力/4,958人)
川崎 2 – 1 鹿島
■後半AT
試合終了直後、DAZNの映像が映し出したのは、ひざまずく鹿島の常本佳吾だった。口元の動きは「ごめん、マジごめん」と読み取れた。
常本は、三笘薫との1対1を止め続け、フロンターレの左サイドからの攻撃にブレーキをかけていた。鬼木達監督が三笘を64分という時間で下げざるを得なかった一因は常本の対応が素晴らしさもあるはずで、そういう意味で言うとフロンターレのゲームプランを変更させた選手だったという言い方もできる。
三笘に代えて投入された長谷川竜也の攻撃も、常本はそのほとんどを防いでいた。あのまま1−1で試合を終えていれば。もしくは土壇場で鹿島が逆転ゴールを決めていれば、間違いなく鹿島側のヒーローの一人に数えられていたはず。その常本がチームメイトに謝罪の言葉を発した原因は、後半90+4分のワンプレーが勝敗を分けたからだ。
長谷川が左サイドでボールを保持してルックアップ。その長谷川をジョアン・シミッチが長い距離を走って追い越す。それまでも走り続けていたシミッチのこのフリーランニングを視野に入れた常本は、長谷川の切り返しに若干遅れつつも、そのシミッチをケアできる位置に重心を置いた。あの場面、長谷川の切り返しに食らいつくとシミッチがフリーで持ち出せる状況でもあり、クロスを上げさせたという事に対し、常本にそこまでの責任を押し付けるのは酷な場面だと言えた。
冒頭のチームメイトへの謝罪の言葉についてクロスのところかと聞かれた常本は「一番はそこですね。クロスを上げられて失点につながっているので」と話しつつ「90分を通して自分のサイトからやられたくないっていうところはあったので。試合に入る前から強い意志で臨んでいたので。そこは本当に、あの時間ということもそうですし、悔しい思いが強かったです」と話している。
そして逆の言い方をすればわずかに与えられた時間と空間を、長谷川は最大限に活用したということ。そして知念慶をターゲットとした右足でのクロスの精度は抜群だった。シミッチの献身的なランニングと合わせ、土壇場での決勝点は必然的な得点でもあった。
試合後の会見の席上、鬼木達監督は長谷川のプレーについて「竜也にもあのクロスのところは狙って欲しいって話をした中でね、本当にそういうプレーをしてくれた」のだと振り返る。
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