ヴォルティススタジアム

【徳島vs水戸】レポート:チーム基盤の堅守を発揮し重要な一戦を制したヴォルティス。浮上への前進を再び開始!(1552文字)

■2015明治安田生命J2リーグ 第28節
8月8日(土)徳島 1-0 水戸(19:04KICK OFF/鳴門大塚/ 3,958人)
得点者:21′ キム ジョンミン(徳島)
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間もなく突入するシーズン終盤の行方を占う非常に重要な一戦。今節のゲームはそう位置付けられるものであったと言えよう。連勝を止められた前節の嫌な流れを引きずってしまえばせっかく出始めていた浮上への勢いが弱まってしまうが、逆にそれをここですぐに断ち切ることが出来たならチームはもう一段上の強さを纏う集団に。選手たちは自らの修正力に自信を得ることで、さらなる前進へのパワーを生み出せるに違いなかった。

だからこそヴォルティスは、何としても勝利をもぎ取ろうと開始直後から激しい闘志を見せる。この一戦の重要度を分かっているとばかりに局面で厳しく戦い、過酷な暑さをものともしないハードワークを序盤から攻守両面で体現した。
そして12分にひとつペナルティエリア内で好機を作ったチームは、21分幸先よく先制ゴールを奪い取る。センターサークル付近でボールを受けた木村祐志が周囲のスペースを巧みに使ったキープとターンでマーカーを剥がして前方への視野を確保。バイタルエリア中央へ入り込んだキム ジョンミンの足元にすかさずスピードある中距離の縦パスをピタリ供給すると、キムがこちらも思い切りのいいターンでボールを前へ持ち出し、寄せてくる水戸DFより一瞬早くボールをプッシュして見事ゴールへねじ込んだのである。

しかし、相手は監督交代という激震をタフに乗り越え、ここ7試合負けなしと上昇気流に乗っている水戸。先制こそしたものの主導権を掴むまではなかなか許してもらえない。またセンターバックとして出場し最終ラインをコントロールしていた橋内優也の予期せぬ負傷により冨田大介が急きょピッチに送り出されるというアクシデントも発生。チームは守備バランスの取り直しという難しい作業が必要になったこともあってポゼッションを握られる時間帯を少なからず作られ、またその隙を突くような動きを仕掛けてきた水戸の絶好調男(前節まで3試合連続得点)馬場賢治にヒヤリとするシュートを見舞われるなど簡単でない戦いを強いられた。

さらに折り返した後半は、同点を狙って前への姿勢を強めてきた水戸にいっそう押し込まれる展開。幅のある繋ぎや大きなサイドチェンジによって何度も横へ揺さぶられ、そこから嫌な位置へクロスを上げられて、ヴォルティスの守りは厳しい状況に立たされる。そのうえ水戸が夏の補強で獲得したFW鈴木武蔵を投入してきたため、ゴール前の脅威も倍増。福元洋平、冨田らは一瞬足りとも気の抜けない立場に置かれたと言えるだろう。

だが、そのような戦況下でもチームは決して押し切られなかった。どれほど重要なものか分かっている今節の勝利を是が非でももぎ取ろうと、選手たちは高い集中を維持した一体感ある守備で応戦。全員が限界まで体を張り、互いにコーチングの声を掛け合って、その水戸の圧力を粘り強く跳ね返し続けた。
その結果、危ない場面を何度か作られはしたものの、ネットを揺らされることなく終了のホイッスルを聞くことに成功。ヴォルティスはチームの基盤である堅守をしっかり発揮する形で価値ある白星を手中に収めた。

もちろんまだまだ改善が必要な部分は存在する。後半押し込まれ始めた時に全体がやや低い位置へ下がってしまったことは間違いなく反省点だし、試合後のインタビューで福元も口にしていたように、こうした厳しいゲームでも追加点を奪えるだけの強さを身につけなければならない。
とは言え、やはりこの一戦を制したことは大きい。冒頭でも述べたように、チームはこの勝利によって自分たちの修正力に自信が持てたはずで、必ずそれはチームが上位浮上に向かって進んでいく力となるであろう。それだけに、現在5連勝中と破竹の勢いを見せている東京Vを迎える次節が今からもう楽しみでならない。

reported by 松下英樹

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