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【エルゴラッソ寺田弘幸記者コラム】茶島雄介/僕はまだまだ良くなれる

サッカーの世界の変化のスピードは早い。チーム内の競争なんて突発的に変容する。それが醍醐味でもあれば残酷でもあるところだから、変化を恐れていては生き残っていけない。

3月26日、安芸高田市サッカー公園でガンバ大阪戦に向けた準備が始まった。ピエロス・ソティリウの姿はグラウンドになく、マルコス・ジュニオールもまだ全体練習には合流できない。23日に鳥栖と行ったトレーニングマッチを経て、これから前線の競争がどうなっていくのかがとても気になるところだが、右ワイドも新たなホットスポットになりそうだ。

 12×12ゲーム形式の練習では、新加入の新井直人が右ワイドに入った。中野就斗はいつものように3バックの一角を担い、越道草太はシャドーでプレーしている。様々なポジションでプレーできるところが魅力の新井は、まず最も得意な右ワイドのポジションでチームに慣れていくことになるのだろう。

 もう一方のチームの右ワイドでプレーした茶島雄介にとっては、新たなライバルの出現となる。心がざわつく状況だったが、練習から引き上げてきた茶島は穏やかだった。

 23日の鳥栖戦もいつも通りやれた。自分のプレーは維持できていますね」

 いい状態にあることを確認できているからだろうし、やるべきことも明確になっているからだ。

 茶島は今年、プレー強度を高めることにフォーカスしてトレーニングを積んでいる。これまで何度も「クレバー」と形容してきた選手が、宮崎キャンプでフィジカルに目を向けていると言ったときには驚いたが、茶島がとても楽しそうに話していたことが印象的だった。

 「今年はもう1回最初からそこにチャレンジしたい。サッカー選手として生き残っていくためにも、自分に足りないところをどんどんやっているところです。

まだまだ良くなれることも分かっているし、まだまだ上があることも分かっている。若い選手からも見習うところが多いし、楽しく向上心を持ってできているんで、続けていきたいなと思います」

 30歳を過ぎて自分の苦手な部分に目を向ける勇気に感心し、あれからずっとそんな思いに至った理由を知りたかった。変わろうとすることは、とても大きなエネルギーを必要とする。年を重ねれば重ねるほど、そのエネルギーは大きくなる。なのに、どうして?

 茶島に率直に聞くと、やはり彼はクレバーだった。

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