【サンフレッチェ広島レジーナ 3-0 大宮アルディージャVENTUS】ストライカー・谷口木乃実
いい試合ができる確信はあった。前日練習でファミリーたちから受けた拍手の力は「トレーニングでのゴール確率が倍増した」と多くの選手が口にしたように、無形のパワーとなっていたからだ。
そしてもう1つは、相模原戦で機能した「AI-FUNA SYSTEM」の存在と、ミヒャエル・スキッベ監督のトップチームが見せるゲーゲンプレッシングを彷彿させる前からの圧力があるから。
中村伸監督は「前からのプレッシャーは、以前から取り組んでいた」と語る。だが、取り組んでいることとできていることは、また別の話。皇后杯では、松原志歩を中心として確かにやれていた部分もある。だが、後期が始まってからは、その色が薄くなっていた。
サンフレッチェ広島レジーナの守備陣には決して力強いストッパーがいるわけでもなく、スピードスターがいるわけでもない。左山桃子にしても中村楓にしても、どちらかといえばフィジカルよりもクレバーさで勝負するタイプ。チーム全体での守備を機能させてこそ、彼女たちの力は活きてくる。
そういう意味でいえば、前線からのプレッシャーはこのチームにとって不可欠だったと言っていい。そのために必要になのは、何よりも勇気。それは、トップチームの時も言及したとおりだ。
プレッシャーに行くのは勇気がいる。裏への怖さ。かわされることの恐怖。その怖れを吹っ切ることができるかどうか。それが、大きなポイントだと考えている。
その「勇気」を体現しているのは、トップチームでは永井龍だ。彼の先発起用からサンフレッチェ広島の快進撃がスタートしたのは決して偶然ではない。前線から守備のスイッチを入れ、相手が持っているボールに向けて、激しくチェイスする。その勇気に牽引されて、森島司や満田誠のスプリントが生まれてくる。
レジーナの最前線に配置された谷口木乃実が「永井のプレーを参考にしている」と語ったのは、示唆的だ。大宮V戦でも先発した彼女は、キックオフから激しく前に出た。「ボールに向かって守備をする」というメソッドを体現し、前への意識をチームに対して表現する。マイボールになれば裏を狙い、自身が自信を持つスピードに乗ったランニングを見せた。
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