ニイガタフットボールプレス

【頼もう、感想戦!feat.成岡翔】~明治安田J2第21節・磐田戦vol.1~「改善の仕方は二つあって、新潟に望むのは」

ピックアップしたゲームを選りすぐりの論客と語り尽くす、この企画。第21節・磐田戦は前半に3点を失い、後半に2点を返しましたが及ばず、敗戦となりました。シーズン折り返しで迎えた大一番を、両チームに縁の深い成岡翔さんと語り尽くします!

■純粋にサッカーを見て、感じたこと

――試合当日は大雨で、熱海では大変な災害が起きたり、交通機関に大きな影響が出ました。

「今、住んでいるのは神奈川なんですけど、前の夜からずっと緊急避難のメールが入りっぱなしで、眠れなかったです。磐田戦のあった土曜日(7月3日)、日中は都内でサッカースクールの仕事がありましたが、都内は大丈夫でしたね」

――静岡県の雨量も、相当だったようですね。

「実家(静岡県島田市)のあたりもニュースに出てきたので連絡したら、雨はたくさん降っているけど大丈夫、ということでした。熱海のように大きな災害が起こった場所もあったり、地域によってかなり違いがあったようです」

――当日、エコパに向かったサポーターのみなさんも、本当に大変だったと思います。そしてシーズンを折り返すところで迎えた大一番は、2-3の敗戦。試合が終わった後、「いろいろな思いが交錯して、複雑な気持ちなので、お酒を飲みます」とツイートされていましたね。

「はい。飲んじゃいました」

――何を飲んだんですか?

「焼酎ですね。麦焼酎です。知り合いのお店がつくっているもので、すごく飲みやすいんですよ。あとはビールを少しかな。基本は焼酎で、あとはウイスキーのハイボールとか。焼酎は太りにくいということで、以前から飲んでます」

――焼酎は水割りで?

「すごく飲みやすいから、ロックでもいけます。今日は酔いたいな、というときとか」

――まさに磐田戦の後、酔いたい気分で、僕も痛飲してしまいました……。

「正直、どちらも古巣で注目してきたチーム同士の対戦だったから、今回は公平にというか、中立の立場で試合を見ました。J2の上位対決だし、今後のリーグを左右する試合でもあるから、純粋にサッカーを見よう、と」

――試合後、ツイッターで「いろいろ語りたい」ともつぶやかれていました。

「新潟目線でいえば、試合の入りでの失点が非常に痛かった。結局それが、最後まで影響してしまいました。試合の入りのところ、10分から15分は、最も注意すべき時間帯で、そこを引き締めなきゃいけないというのは鉄則です。新潟も、決して緩い入り方ではありませんでしたが、そこで失点した影響は非常に大きかったと思います。画面越しでも、新潟の選手たちの負のメンタルが見て取れましたから。アップで映される選手たちの表情に、『ヤバいな』というのが出てしまっていて、しかも失点を重ねて。そういう雰囲気が伝わってきたのは残念でしたね」

――画面越しの僕らに伝わってくるくらいですから、ピッチ上で戦っている磐田の選手からすれば、なおさらですよね。精神的に、かなり優位に立たれた中での戦いになってしまいました。

「磐田からすれば、新潟のメンタルが落ちているところを当然、突こうと思ったでしょう。それに彼らには勝ち続けている自信、精神的な落ち着きが、試合に入る時点ですでにあったと思います。

磐田は早い時間に先制しても、変にペースを乱すことなく、チャンスになるところでガッと力を発揮することができていた。『自分たちのペースだね』という感触を持ったまま、試合を運べていたでしょう。その上で、ポンポンと点を取れましたからね」

――前半で3失点というのは、ちょっと予想外でもありました。先制されたのは6分。高いラインの背後を突かれての失点でした。

「スタッツにも出ていましたけど、前半は70%の保持率で新潟がボールを持ててはいましたが、仕掛けるときに奪われてはサイドバックの背後を突かれることが、たびたびありました。そこは明らかな改善点です。

改善の仕方は大きく二つあります。攻め切る力を付けるか、もしくはボールとは逆サイドのサイドバックがあまり高い位置を取らずに、リスク管理を今まで以上に徹底するか。

磐田戦では、ちょっとボールの奪われ方が悪いところもありました。攻めていてボールを失ったとき、逆のサイドバックがケアに入るのがセオリーなんだけど、両方のサイドバックが高い位置を取っているときにボールを失ってカウンターを受けたり」

――2失点目が、まさにそうでした。

「難しいところではあるんですけどね。だけど俺は、新潟には攻め切ってほしいんですよ。このサッカーをしているからこそ。両方のサイドバックが高い位置を取るような状況になったとすれば、それだけ崩しにパワーを掛けている証拠だし、だからこそ攻め切る。

磐田も、しっかり守っていました。後ろに5枚並べて、その前に3人、ないし4人でブロックを組んで。スペースはなかったんですけど、そこでチャレンジして、攻め崩すところが見たかったんですけどね。この試合に関しては、7連勝の磐田と、少し停滞している新潟との調子の差が、それぞれの攻撃のところに出た印象です」

(つづく)

【プロフィール】
成岡翔(なるおか・しょう)/1984年5月31日生まれ、静岡県島田市出身。藤枝東高校から2003年、磐田に加入。11年に福岡に移籍し、13年、完全移籍で新潟に加入した。サイドハーフ、ボランチ、そしてFWでたぐいまれなサッカーセンスを発揮し、新潟で最初のシーズンは全34試合に先発出場。在籍した5シーズンでリーグ戦113試合に出場し、10得点を挙げ、17年にはJ1リーグ通算300試合出場を達成した。18年、J3のSC相模原に移籍。19年、J3の藤枝MYFCに加入し、11月5日に同年シーズンでの現役引退を発表した。今年はサッカースクールSKYでの指導が主になる。

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