ニイガタフットボールプレス

【Voice of the Pitch】左サイドの思考~堀米悠斗選手インタビュー①~

状況を見て判断し、選択する。今、堀米悠斗選手が体現するプレーは、知的好奇心を大いにくすぐってくれます。サッカーの面白さを存分に感じさせつつ、勝利への、J1昇格への強い思いがあふれ出る左サイドバックの思考に迫ります。

■斜めのパスが生み出すもの

――状況を見ながらプレーを選択する。その状況判断を仲間と共有する。必要ならば、いったん選択したものを変更する。現在のチームの特徴をうまく表現できているのが左サイドで、前節のジェフユナイテッド千葉戦では、左サイドバックである堀米悠斗選手の仕掛けが2ゴールに結びつきました。

まずは5分の1点目。左サイドハーフの渡邉新太選手とゆっくりパス交換しながら、ハーフウェーラインを越えたあたりから、ゴールへの流れが生まれました。

新太選手が大武峻選手にボールを下げ、大武選手が右隣りの舞行龍選手へパス。舞行龍選手が斜め前のシルビーニョ選手に入れた縦パスがスイッチとなって全体のスピードが上がり、その落としを受けた戸嶋祥郎選手が左前方にパス。これを受けたゴメス選手(堀米悠斗選手の愛称)がペナルティエリア内まで持ち込み、出てきた相手GKにブロックされますが、こぼれ球を拾ったレオナルド選手が鮮やかにゴールに流し込みました。

ゴメス選手はハーフウェーラインを越えたところで、しばらく漂うようなポジションを取りながら、どのようにチャンスをうかがっていたのですか?

「重要だったのは、舞行龍くんからシルビへの斜めのパスでした。練習でもああいうパスがけっこう入っていて、そこからスペースができているんです。あの場面では、シルビに相手のボランチが食いついて、サイドハーフは開いた新太に引っ張られるから、『その間が空きそうだな』と思いながら、フラフラしていました。

意識したのは、いきなりスペースに入るというよりも、ワンテンポ遅らせて入ることでした。そういう動きは、けっこう前からヨシくん(高木善朗選手)に要求されているところでもあるし、ひとつ遅らせることで、相手もついてきづらいんですよ。

以前は、『あ、スペースがあるな』と思うと、そのまま入っていきがちだった。スペースに入っていって、そこで止まってボールを受けて、ターンして新太にパスしたり、レオにパスしていたんだけど、ヨシくんからは『先に入るんじゃなく、ひとつ遅らせてほしい』と言われていて、だからフラフラしていたんです。で、最初、サチ(戸嶋選手)はスペースに抜けようとしていたんだけど、戻ってシルビからパスを受けることで、僕が前向きでボールを受ける状況を作ってくれた。

たぶんね、サチのパスはレオを狙ったものだったと思う。すごくいいパスだった」

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