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視覚障害者との観戦会を前に。大学生30名がブラインドサッカーと介助を体験【無料記事】

実行委員インタビュー

今回のプロジェクトは金沢星稜大学の学生3名が実行委員を務め、4月から中心となって進めてきた。講習会終了後、4年生の嶌村悠さんと3年生の久々湊巧さんに話を聞いた(残り1名は教育実習中で今回の体験会には不参加)。

 

ーーまずは今回のプロジェクトに参加しようと思ったきっかけを教えてください。

久々湊「いまは3年生なのですが、2年生のときにゼミの体験会というのがありました。そこでトップスポーツクラブのマネジメントを体験する活動に参加して、このゼミに入りました(西村貴之教授担当)。いろんなプロジェクトがあったのですが、ツエーゲンさんのFuture Challenge Projectにも参加してみたいし、視覚障害者と一緒に活動しているんだとも知って関わることになりました」

 

嶌村「私はこのゼミで、これまで石川ミリオンスターズさんや金沢武士団さんとのプロジェクトを経験しました。そういう経験をしているうちに、将来はプロスポーツという枠組みのなかで働いてみたくなって、先生と相談しているうちに今回のツエーゲン金沢さんの企画も知りました。こういう地域との関わりも経験してみたいと思って参加しました」

 

ーーおふたりは視覚障害の方と接したことはありますか?

久々湊「僕は今回、初めて接することになりました。まったく知識がない状態からだったので、まずは視覚障害を理解するところから始めました。最初は『視覚障害をもった方』と表現していたんですけど、視覚障害はもちたくてもっているわけではないので、『視覚障害がある方』という言い方をしなさいと教えられたり、本当に大事なことを一つひとつ教わってきました」

嶌村「私は2年生のときからFuture Challenge Projectに関わっていて、今年が3年目です。ただ、これまでは参加するだけという立場で、今年は集大成というかプロジェクトメンバーとして関わっているので、もっと深く入り込んでいる感じがします」

 

ーー3年間の経験を経て感じていることはありますか?
嶌村「最初は先輩方がやっているプロジェクトに参加するというぐらいにしか思っていませんでした。だけど関わりが深くなっていくなかで、自分自身の視覚障害への意識も変わってきました。最初は色眼鏡で見ていた自分がいたんだなという気づきもたくさんあって、いろんなことを学んできた3年間でした」

 

ーー今日は他の学生に体験してもらうという立場でしたが、おふたり自身も視覚障害者の方と接する機会を積極的にもってきたのですか?

久々湊「先週にはツエーゲン金沢BFCさんの練習会に参加させてもらいました。僕はいまも社会人チームでサッカーをしていますが、今回初めて目が見えない状態でのサッカーを体験しました。なんとなく『難しいんだろうな』とは想像していたんですけど、実際に目隠しをするとグラウンドを一周するだけで自分がどこにいるかがわからなくなりました。周りの声だけしか頼りにならなかったので、介添えの方の声が本当に大事だと実感しました。僕らは視覚からたくさんの情報を得て生活をしているので、それがない状態を体験してみることは大事だなと感じました」

嶌村「私も先日、ブラインドランのチームの練習会に参加させてもらいました。一緒に走るだけでなく、雑談をするなかで普段の生活についての話もしました。『こういうことは怖いけど、こういうことは普段の生活から経験しているので全然怖くはない』とか、いままで考えつかなったお話も聞くことができて、いろいろな気づきがあった貴重な体験でした」

 

ーー今回のプロジェクトのために、他にどんな活動をしていますか?

久々湊「去年は視覚障害の方の参加が少なかったので、今年はたくさんの方にきてもらって一緒にサッカーを楽しんでもらいたいなと考えていましす。そのために視覚障害者を支援している団体に連絡をとってzoomミーティングをしたり、直接お会いして告知のお願いなどをしてきしました」

 

ーーそういった自身の体験も踏まえ、今日の体験会でおふたりが重視したことは?

久々湊「ほとんどの学生が目の見えない状態で歩く、サッカーをする、階段を昇るというのは初めてだと思いましたので、どんな怖さがあるのかを身をもって感じてもらいたかったです。これまで(の2年間)は参加して終わりという感じだったのですが、感想などをみんなで共有できるように、付箋に書いて貼って、目に見えるような形にしました」

嶌村「私は『視覚障害者だからかわいそう』という考えはなくしてほしいという思いがありました。ツエーゲン金沢BFCの方が『その人の個性として扱ってほしい』と最初に伝えられていましたが、私もそれを伝えたかったです。個性は人それぞれ。自分自身が目が見えない状態になったときにどう感じるかも人それぞれです。久々湊くんも言ったように、それぞれが感じたことを話し合うことで、いろんな人の知識を共有できれば、もっと理解が深まります。そういう情報を増やして実際に介添えをするときに活かしてもらいたいと考えました」

 

ーー本番は1ヶ月半後。どういう企画にしたいですか?

久々湊「このフューチャーチャレンジプロジェクトは障害があるなしにかかわらず、共に暮らし続ける街というのをコンセプトにしているので、サッカー観戦会を通して一緒に楽しんでほしいです。してあげる・やってあげるではなく、同じ立場で一緒に楽しむというのが大事だよというのをこの活動を通して学んだので、とにかく一緒に楽しめるような雰囲気をつくりたいです」

嶌村「私も同じです。今年は『共に楽しむということをコンセプトにしたいね』と学生3人で話し合ってきました。そのためにはコミュニケーションが大事だと思っています。『〇〇してあげる』という上下関係があると楽しめません。『一緒に楽しもうよ』というスタンスでみんなが活動できるように、思考を誘導していければいいかなと思います」

 

以上

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