無料記事「ここまでのIN&OUTで感じる期待は若手が出せそうな勢い、心配はディフェンスラインの経験値不足」【コラム&インタビュー】
「若手は充実。若いディフェンスラインをレベルアップできるコーチは必要」
大卒・在学中選手を除いた新加入選手8人(12月18日現在)の中で32歳のMF佐藤和弘(J3松本)とMF武富孝介(J1京都)以外の6人は20代で、4人がU-25。大宮に復帰するボランチ・石川俊輝が発揮していた山田陸(名古屋に移籍)とのバランスを取る巧みさなどの経験値は佐藤がーータイプは同じではないがーー埋めることになりそうだが、昨季ディフェンスラインに不足していた経験値は現時点では埋まっていない。補強はこれで終わりではないだろうけれど、実績・経験値があるレギュラー候補のCBかCBで一定以上の実績・経験があり甲府の若いDFを育てることができるコーチは必要だ。現時点では昨季オフに今季の監督候補のひとりとして名前が挙がっていた指導者が新たに加わるという話を聞いたが2023シーズンのコーチングスタッフは現役時代にMFよりも前でプレーしていた人ばかり。若手が多いディフェンスラインの経験値の不足を埋め、レベルアップを図ることができるコーチは必要。それ無くして今季のディフェンスラインが露呈した経験不足からくる安めの失点解消は難しいのではないか。
天皇杯の決勝戦はベテランの河田晃兵と三平和司が大きく貢献し、神様に愛された大ベテランの山本英臣が最後は全部持って行った。ボランチでバランスを取り続けた石川俊輝を含むベテランが存在感を示したことが決勝戦で勝てた理由。戦力でも環境でも選手の給料でも甲府を大きく上回っていた広島は若手が力を発揮できなかった。このことを鑑みれば大事な舞台ではベテランが重要なことは明白。ただ、篠田善之新監督が指揮を執る来季は若手をノセて勢いが出ることが期待できるので、若手を中心としながらも各ラインに1枚以上は経験値がある中堅、ベテランをバランスよく配置する選手構成であることが重要。現時点では中山陸とジェトゥリオの2人の去就が発表されておらず、新加入・新卒が13名、既存選手で契約更新済みの選手が16名の29人(当社調べ)。ACLを考えればシーズン中の補強を含めてもう5~6枚の補強があると予想できるので途中経過に対する印象だが、若手の充実度というか期待値は高い。
篠田新監督が若手を上手く活かすことができれば勢いがあるチームとしてリーグ戦はいいスタートが切れそうだが、あとはどんなチーム戦術を持って選手の可能性を引き出せるか。上手くいかない時は山本英臣、三平、佐藤、荒木翔あたりが篠田新監督とコミュニケーションを取って修正していくことができるか…ではないだろうか。エドゥアルド・マンシャの残留は大きいし、長谷川元希、鳥海芳樹、須貝英大、関口正大、野澤陸ら大卒2年目の5人を全員残すことができたことも大きい。来季プロ2年目の飯島陸が生き方を掴めばグッと来るだろうし、ケガでリハビリ中の小林岩魚と宮崎純真と林田滉也が合流すれば選手層は確実に厚くなる。甘い期待は持たないけれど、若手を生かし・育てつつベテランをしっかり配置できれば昇格争いに絡めると思うし、ACLが始まる9月までにケガ人を増やさず昇格圏の3位と勝ち点差6ポイント程度以上につけていれば、”ここからスケジュールが厳しくなるけど、俺たちはやれるぞ!”的な雰囲気で9月に突入できるはずだ。
(松尾ジュン)