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【広島 2-1 浦和】11番の帰還がもたらしたピースマッチの希望

ナッシム・ベン・カリファの強烈なシュートが西川周作の指をかすめて、ネットをゆらしたその瞬間、エディオンスタジアム広島が揺れたように感じた。赤の沈黙とは裏腹に、紫の大歓声が物理的な力をもってスタジアムを動かしたように見えた。

7試合連続して、先制点を許した。何度も何度もゴール前に迫るが、日本一のGK・西川周作の前に弾かれる。「浦和キラー」の加藤陸次樹が素晴らしい切り返しとシュートでネットを揺らしたものの、西川のこの試合のセーブ数は11。OPTAによれば、1試合あたりのセーブ数において今季J1最多となる数字だという。まさに鉄壁。かつて広島の守護神だった男の奮戦に、サポーターは唇を噛みしめていた。

また、勝てないのか。

そんな予感が漂った時の歓喜。ほぼラストプレーに近い状態で決めた決勝点。ミヒャエル・スキッベ監督が「もう20試合くらい、負けた感覚」と語ったほどの苦境から、ついに脱することができる。その確信が、地響きのような大歓声を生んだ。

勝利の興奮がおさまり、記者会見室に移動した筆者は、ゴールをもう1度確認しようと、DAZNを開いた。その時、一人の若者の歓喜が目に留まった。満田誠だ。

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