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工藤壮人選手の訃報に接し、思い出した言葉

国立競技場のベンチには、50番と9番、二つのユニフォームが並べて飾ってあった。

一緒に闘うんだ。工藤壮人と共に、闘うんだ。

サンフレッチェ広島のチームとしての意志が、そこにはあった。

ルーキー時代の2018年、工藤に優しくしてもらったという大迫敬介は、こう語った。

「プレーヤーとしてはもちろんそうですけど、一人の人間としても本当に尊敬できる人。工藤さんのためにいい結果を、いい報告をできるように、明日は何としてでも勝ちたいと思います。工藤さんのためにチーム全員で想いを一つにしながら、自分たちも工藤さんと一緒に戦いたいと思います」

同じくルーキー時代に工藤と共にトレーニングを重ねた川村拓夢は、こう言った。

工藤さんはサンフレッチェのファミリー。いい結果を報告できるようにやっていきたい」

この時、彼らは知らなかった。質問している報道陣もまた、知らなかった。

インタビューが始まる約1時間前の14時50分、工藤壮人は帰らぬ人となっていたことを。

今、こうやって原稿を書いていても、未だに信じられない。

確かに、広島では活躍したとは言えなかった。彼自身の力を発揮したとは思えない。だが、そういう苦しい状況の中でも、工藤は常に全力を尽くし、チームのために走り抜いたことだけは、証言できる。

工藤壮人が広島に移籍した時の言葉

工藤に初めてインタビューしたのは、2017年2月のこと。SIGMACLUBでのロングインタビューのために、時間をつくってくれた。

彼はこのインタビューのために、筆者が足立修強化部長に取材して書いた記事をしっかりと読んでいた。

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