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《大迫敬介シート》に託す若きGKの想い

何事も継続が大切なのは、わかっている。だが、それが難しい。だからこそ、こんな言葉が生まれる。

「継続は力なり」

かつて藤本主税(現熊本ヘッドコーチ)が大切にしていた座右の銘だ。

そして大迫敬介もまた、しっかりと継続できる男である。

2021年10月、彼は「大迫敬介シート」を企画した。これはサンフレッチェ広島のホーム側ゴールの裏に設置されたシートで、ゴール前の攻防が迫力をもって見ることができる場所にある。プロ選手が放つ強烈なシュートを体感したり、それを止めるGKの妙技を堪能したり。エディオンスタジアム広島のような陸上競技場での試合ではどうしても感じられない最終局面の闘いの凄みが、このシートからなら体感できる。

この時の大迫のコメントをご紹介しよう。

「コロナ禍において、なかなかファンサービスもできていない現状に、選手として子どもたちの為に、何かできないかと考え、クラブと相談して今回の企画シートを設置するにいたりました。
 僕としても初めての試みとはなりますが、ウォーミングアップからGKの間近で、GKの目線で、僕たち選手の練習や試合を観ることで、実際にプレーの参考にしたり、もっとうまくなりたい、GKになりたいと思うきっかけになれば嬉しいです。
 また、GKの育成にチカラを入れているサンフレッチェ広島のトップチームの選手のプレーを間近で見ることで、将来的にプロのピッチで活躍したいと思う、刺激になればと思います。僕たちのプレーをしっかり目に焼き付け、楽しんでください」

10月3日の対名古屋戦でトライアル実施。そして、11月に行われ鹿島戦・FC東京戦とこの企画は実施された。この時は、サンフレッチェ広島のサッカースクールに所属している子どもたちに限られ、2名1組が2組、毎試合招待された。そして試合前には大迫が招待された子どもたちの側に行って言葉をかわすシーンも見られた。

大迫の素晴らしさは、この企画を今季も継続したことにある。

しかも今季は対象者を広げ、毎試合のテーマに即した人々に応募を募り、招待しようというもの。たとえば開幕の鳥栖戦では「サンフレッチェ広島をぶちあつに好きな人」。神戸戦では「極寒の開幕戦をスタジアムで応援してくださった人」である。つまり、サッカーを経験したことがなく、リアルにピッチの上でサッカーボールの本当の勢いを感じたことのない人々でも、このシートに応募資格があるということだ。

この大迫敬介シートについて、ようやく彼から直接、言葉を聞くことができた。

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