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【サンフレッチェ広島レジーナ】柳瀬楓菜の心が解放された時、物語は動いた。

 

柳瀬楓菜のプレーを見ていると、心が弾む。

おそらく、彼女よりも巧いWEリーガーはいるだろうし、彼女よりも身体能力の高い選手も、他にいるだろう。小川愛のような息を呑むロングキックがあるわけでもないし、近賀ゆかりのような経験と実績に裏打ちされた味わい深さは、当然、持ち合わせるはずもない。

だけど、レジーナの試合を見る時には自然と、柳瀬が身に付けている背番号23が目に入ってくる。

ゴム鞠のような弾力を感じさせるプレースタイル。物怖じせず、どんなに巧い相手でも強い相手であっても、果敢にボールを奪いにいって、そして実際に奪いとる。もちろん、ボールを奪っただけで満足するはずもなく、前へ、そして前へ。その推進力は中嶋淑乃とは違った意味で、見ていて楽しい。

スルーパスもあるが、決してパッサーという感じではない。ドリブラーでもないし、演出家という雰囲気でもない。だが、彼女が走ると、彼女がボールを持つと、チャンスが生まれる。圧巻のボールキープ、即時奪回、ずっと走り続けることができるスタミナ。こんな選手が存在すれば、どうしても見たくなる。応援したなる。

だが、2021年の柳瀬楓菜は、こういう選手ではなかった。

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