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【チームの未来】東俊希/森﨑和幸デビューの年に生まれた少年

 森﨑和幸が正式にプロ契約を結んだのは、2000年のこと。そして、東俊希はその年の7月28日に誕生している。その年のサンフレッチェ広島は、7月26日はFC東京に、7月29日は清水にそれぞれ勝利。どちらの試合でもカズは先発出場を果たし、途中交代とはいえ勝利に貢献した。ただ、どちらの試合も決して「快勝」ということではなく、戦力的には上の立場にあった両チームにボールを支配される中、苦しみながらも跳ね返し、FC東京戦では久保竜彦と藤本主税が得点をあげ、清水戦では上村健一が40mロングシュートを決めての勝利だった。ちなみにカズは、22日の福岡戦で強烈なミドルを決めている。東が愛媛県で生まれる6日前のことだ。

 それほどのギャップがあるわけだから、東がカズのプレーの「偉大さ」に気づくまでは、まだ相応の時間がかかる。

 「広島ユース出身でサンフレッチェ広島一筋で頑張ってこられた方。長い間、サッカー選手として活躍するのも素晴らしいことなんですけど、サンフレッチェ広島でずっとキャリアを続けてこられたことに対して、感謝しています。自分もまだまだ(プロとして)活躍しないですし、これからそうなったとしても長い時間を通してやれるかどうか、そこはわからない。今の練習を一生懸命やるしかないです」 この言葉が精一杯だろう。城福浩監督が「サンフレッチェ広島にとってのブスケッツ(バルセロナ)だ」と絶賛したカズのプレーの奥深さも、新進気鋭の若者にとっては未知のまま。残念である。

 仙台との練習試合で、東はカズと同じチームで戦った。この試合は正直、彼にとっては試練の連続。特に前半、右サイドハーフでプレーした彼は、関口訓充や金正也ら手練れの選手たちに厳しい球際の戦いを余儀なくされ、ボールを何度も失った。屈辱だったはずである。

 「パスをもらってもコースを探していたし、パスを出しても質が悪くてボールをとられて、カウンターみたいな形になって。しんどい試合でした。球際のところで勝っていかないと、その試合は変わってくる。やっぱり球際で負けてたら、相手ボールの時間が増えますし、流れもきつい状況になってしまうから」

 そういう時、若者に厳しい声をかけたのが、カズだった。

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