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【緊急集中連載】ミハエル・ミキッチ物語 Part.7

 

2011年オフ、衝撃。

ミキッチは初めて、広島からの移籍を考えた。自身を広島に引っ張ってくれて、欧州にはないスタイルを体験させてくれたミハイロ・ペトロヴィッチがクラブを去ったことが、そのきっかけだった。

広島で自分のキャリアを終えるんだ。そう決意して、彼は欧州から渡ってきた。だが、GKからボールをつなぎ、ボールに何人も絡んでゲームをつくるペトロヴィッチ流スタイルに心酔していたミキッチは、彼が広島を去ってしまうという現実を、なかなか受け入れることができなかった。

しかし、広島との契約は残っている。具体的なオファーもない。移籍は現実的な判断ではない。それでも不安はあった。実績のある名将が去り、やってきたのは監督初体験の森保一だった。かつてコーチと選手として接したことがある2人だが、森保一の仕事場は若手中心。バリバリのレギュラーだったミキッチとは、それほど接点があったわけではなかった。

だが、キャンプを通じて森保新監督の仕事を見続けた彼は、「大丈夫だ」と確信したという。新監督が今までのサッカーを壊すのではなく継続しようとしていたこと。弱点だった守備を改善するために効果的な方策を講じていたこと。千葉和彦と石原直樹という新加入選手をうまくチームに溶け込ませ、石川大徳や清水航平といった若い戦力に対して積極的にチャンスを与えようとしていたこと。あらゆる施策が、広島を活気づけていた。

(残り 2558文字/全文: 3153文字)

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