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【広島 1-2 名古屋】悔しさだけが残る敗戦を、成長の一過程に。

●越道草太不在の理由と満田誠の右サイド

連戦でもないのに、どうしてミヒャエル・スキッベ監督は選手をリーグ戦から入れ替えたのか。

不思議だった。昨年は、連戦であっても頑なに「ベストメンバー」にこだわり、ターンオーバーはほとんどやらなかったスキッベ監督だったが、今回は違う。ルヴァンカップの初戦はフルターンオーバー、二戦目の名古屋戦も3人を除いてメンバーは入れ替えた。

ただ、右サイドに入った満田誠は本来はベンチスタートで、このポジションには越道草太が先発する予定だった。U-21の選手を先発させないといけないルールで、棚田遼か越道は先発必須。名古屋戦は越道を先発させ、棚田はベンチ外がこの日の形。ところが越道は試合前日の午後に胃腸炎となり、試合出場が不可となってしまった。そのため、棚田を急遽、名古屋戦のチームに招集。他のメンバーには右ワイドができる選手は満田しかいなかったため、彼をこの位置で使わざるを得なかった。

11番をこの位置で使うことに対し、一定数のファン・サポーターからは反発もある。昨年9得点8アシストと破壊力を見せ付けた若者を、できるだけゴール近くの場所で見たい。その気持ちは、とてもよくわかる。筆者も彼のFW起用を提案しているわけだから、なおさらだ。

ただ、右サイドでの彼が機能していないわけではない。橫浜FC戦でのゴールは右サイドに移った後だったし、リーグの横浜FM戦では東俊希のゴールをアシストしている。そして名古屋戦でも川村拓夢に絶妙のラストパスを供給したのは、右の満田だ。現状で右サイドのベストプレーヤーは誰かと考えれば、満田の名前をあげざるをえない。

「チームに最も貢献できるポジションが、選手のベストポジション」というスキッベ監督の言葉を考えた時、「今は」そうせざるをえないのかとも、思う。でもできれば、満田を2トップの一角で見たい。筆者は個人的にはそこが、彼の力を最も引き出せるのではないかと考えている。それが結果として、チームに最も貢献できるのではないか、と。

そういう意味も含め、越道の病気離脱は本当に残念だった。トレーニングでも元気で常に前向きにやっているし、自分がやるべきこともわかっている。

「越道はスピードがあるし、1対1も強く、ヘディングでも負けない。将来性の高い選手」

これがスキッベ監督の越道に対する評価だ。

彼が実戦でどれだけやれるか。去年の満田のように、ファーストチャンスで結果を出し、そこから勢いに乗って大きく成長するという物語が越道によって再生される可能性もあるのではと思っていた。それができなくなったことが、本当に残念だ。実際、トレーニングを見ていると、大きな波があるのは否めないが、波に乗った時の彼のプレーには大きな可能性を感じさせる。試合を重ねることができれば、その経験が成長を加速度的にアップできるはずだ。

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