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【エルゴラッソ寺田弘幸記者コラム】松本泰志/脱力系からアグレッシブへと成長した天才型は、走りに走る

神戸戦に向けたトレーニングが始まった12日、中島洋太朗が練習に戻ってきた。キャンプでふくらはぎに肉離れを起こしてしまい、それが癒えると今度は足首をねんざした。悔しいプレシーズンを過ごしてきた17歳のMFは、ようやくピッチに立てる喜びを表現するように躍動感のあるプレーを見せた。

12人対12人の紅白戦で中島はフリーマンを担当。守備の局面がない役割だったこともあり、中島はボールを見事な技術で操りながら非凡なパスセンスを存分に発揮していく。その姿を見ていて、早くデビューするところが見たいと改めて強く思った。

中島も飢えていた。

「今日は楽しかったし、こっからどんどん上げてアピールしていきたい。愛簾が遠征にも帯同していて自分もケガが治ればチャンスがあるなと思ったし、早くデビューして試合にたくさん絡んでいきたいです」

ファン・サポーターも待ち望む日はすぐに訪れるのではないだろうか。そんな気がするが、そう簡単ではないのがプロの世界である。何より、サンフレッチェ広島の中盤は常にリーグ有数の競争力を誇っている。


プロ8年目を迎えた松本泰志は、そのサンフレッチェの中盤の競争力の中で、良い意味でも悪い意味でも、“あとちょっと”の位置に居続けている。

1年目はベテランの森﨑和幸と柴﨑晃誠がいて、もちろん青山敏弘がいて、新加入の稲垣祥に、若手のホープだった森島司もいた。その後も多士済々だ。

野津田岳人と川辺駿が戻ってきてハイレベルな競争力が保たれてきた中、ボランチを主戦場に移した泰志は3年目の春にチャンスをつかんだ。正確な技術と豊富な運動量で中盤を支えたが、まだポジションをつかみ取るには至らない。 

4年目の夏、先輩たちの厚い壁に阻まれてきた泰志は他クラブに活躍の場を求めた。そして川辺が渡欧してボランチに穴が開いて5年目の夏に戻ってきたが、城福浩監督はハイネルをチョイスした。

新たにドイツ人監督(ミヒャエル・スキッベ監督)が就任した6年目、泰志はポジションをつかんだ。ついに。そう思ったが、今度は後輩たちが台頭してくる。8年目のシーズンもベンチで開幕を迎えた泰志は、苦笑いを浮かべて言った。

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